13

 ―――それから数日後のある日。

 父親は氷滝一族の集落へと、朧は買出しに、集落から出ていた。


「私だって…」



 ――――外に出たい。


 家族の不在をいいことに、白火は集落の外へ出ることを決意し、そっと支度を始める。


(集落の外の世界をこの目で見てみたいの)


 ごくまれにしか訪れないこの機会、逃してたまるものか。

 白火は家の裏口から、その近くのしげみにまぎれて、集落から抜け出した。一族の誰かに、朧に、父親に、みつかってしまわぬように。

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