11

「…失礼しまーす」


 白火は軽くドアを3回ノックしてから居間のドアを開け、そぉっと恐る恐る中に入った。


「来たか。まぁ、座れ」


 父に促され、白火はテーブル越しに彼の正面に着席した。


「おとうさま、お話って……」


 白火は恐る恐るきいてみることにした。

 父にとがめられるような行動はとっていないはずだ。特に心当たりはない。いつもと変わったことといえば、たずねてきた陽葵たちの表情は―――。


のことよ。近頃、氷滝の集落付近に出没してな。襲撃を受けたという話はきいていないが、我が集落周辺に出没し、こちらを脅かすような真似まねをしてこないとは限らぬ」


(……ということは、吸血鬼たちの不穏な動きが原因?)

 

「白火よ」

「はい」

「集落から1歩も出てはならんぞ、良いな?」


(…やっぱり)


 白火の予測通り、集落外へ出ることを許されることはなかった。


「……」

「どうした」

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