07

「陽葵ちゃーん」

白姉しろねぇ朧姉おぼろねぇ!」


 煌めく銀髪を揺らしながら、1人の少女が白火と朧の方へ走り寄ってくる。


 少女は氷滝ひたき 陽葵。歳は12。氷のように冷たい輝きを放つ銀髪の毛並みと、水のように透き通るような蒼い目とを併せもつ神狼―氷滝一族のひとりである。

 しかし、彼女は両眼共にあおではなく、右眼は蒼く、左目は不知火一族と同じ金色である。それは、白火の父親の妹である叔母おばと、氷滝一族の長の弟との間に産まれたため、どういうわけかオッドアイなのだ。


「おひさしぶりですーっ!」


 陽葵がオッドアイであることを除けば、他人は彼女たちを三姉妹と見間違えてしまうだろう。


「陽葵ちゃん、今日は…」

「おかあさんときたよ!たぶんおじちゃんと2人でお話してる…」


 陽葵はにこにこと笑っていたが、少し表情を曇らせた。


「何かあったの?」

「ヒナのおとうさんね、に会ったんだって…」

「鬼?」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る