第10話 スマホの電池残量0%

 とっくにスマホの電池残量なんか0だった。

 俺は精神的にも肉体的にも包丁女に支配されている。逆らえば殺される。

 俺は今日も包丁女の相手をする。

 包丁女が喜ぶようにしないと。

 俺は殺される。

 包丁女が可愛らしい女性に見えてくる。

 そういえばこいつが俺の恋人だった。

 洗脳?

 逆らえば殺される。

 包丁女の笑顔が可愛らしい。

 俺は精神的に死んでいた。


「ねぇ? 私たちって夫婦だよね?」包丁女が俺に寄り添う。手には包丁が。


 俺は恐怖の中で涙を流した。それを見て包丁女が笑う。何度も包丁を俺に突き刺すマネをしてくる。





 頼む……、殺してくれ。


 いっそのこと、刺し殺してくれ。


 刺して、ください。





 刺して。
















 ドアがバンッと開いた。

 俺は見た。

 三人の女性が立っていた。

 元カノ、後輩の女の子、美人。


 俺は一瞬固まった。


「先輩! 今、助けます!」



 俺は安心のあまり気を失った。

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