第4話 何かの気配

 後輩の女の子と二回目のデートは遊園地だ。


「先輩? ソフトクリームが食べたいなあ~?」


 別におかしなところはない。後輩は甘えて俺の手をギュッと握ってくるし。別におかしなところはなかった。

 男の気配? そんなの感じなかった。


「先輩! このソフトクリーム激ウマ! 一口いりますか? はい、あーん☆」


 何もおかしくない。ただ、前の彼女のことを俺は引きずっている。

 プリクラをビリビリに破ってしまってから、後悔はある。


「なあ、今晩はどうするんだ?」


「え? 用事だけど?」


 またかよ? なんなんだよ? 用事って何?



 その時に雨が急にザアッと降りだす。

 俺は急いで近くの屋根のある店の玄関へ走った。

 振り返ると後輩の女の子は雨の中立ち尽くしている。

 あれ、どうしたんだよ?


「先輩って冷たいよね? ひとりだけ助かろうとしてさあ?」


「はあ? なんなんだよ! 早く来いよ?」


「帰ります、さよなら」






 え? どうした? 俺はそんなにヒドイことをしたか?

 後輩の女の子はみるみる内に俺の視界から立ち去った。

 なんなんだよ! 腹が立つなあ! アイツ、おかしいんじゃねぇの! あー、ムカつく!


 雨宿りの間に視線を感じる。何かの。


 俺は店の中を見た。ケーキ屋のようだ。しかし、店の中からの視線ではないようだ? 外にも人は通っていない。



 気のせいか?


 次のアルバイト、アイツと顔を合わすのが面倒だなぁ。後輩の女の子、あんな子だとは思わなかった。


 しかし、後日のアルバイトの時に後輩の女の子は辞めたって聞いた。

 え? どういうわけ?

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