第3話 後輩の女の子とデート中

 前の彼女のことは忘れて正解だった。

 今は楽しく夜の焼き肉デートをしている。


「おいしー☆」後輩がニコッとしている。


 じゅうじゅう肉を焼いて俺も味を満喫する。


「はい、先輩、あーん☆」後輩に食べさせてもらって俺はちょっと照れたけど嬉しかった。



 これでよかったんだよ……。


 プル、プルル!


 あれ、電話? 俺かな? あ、後輩の電話か。


「もし~? あ、ゴメンね、今は先輩とデート中なの。え、うんうん、あ、わかった、あとで掛け直すよ」


 デート中に電話なあ、そういえば、前の彼女もそうだったなあ。


「先輩、ごみんね! このあとに用事あるんで!」


「え? この時間に? ……わかったよ」


 ちぇ、今日はここまでか。


「先輩、今日はごちそうさまでした!」


「おう、次のアルバイトの時になあ~」






 ひとり席で焼き肉の残りを食べる俺。なんなんだよ、俺よりも大事な用事? ……男かな? はっ、まさかな?


 会計をふたり分すませて俺は夜の街をひとり練り歩く。

 前の彼女といい、アルバイトの後輩の女の子といい、なんか付き合いが悪いよな?

 俺は夜空を見上げた。星がないよな。俺の心にも星がないよ。



 誰でもよかったんだろうか?

 ……本当は違う。でも、ちくしょう……!



 俺は路地裏のごみバケツを思いっきり蹴飛ばした。

 不安が俺を包む。



 なんの電話なんだよ?

 ささいなことだった。

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