第11話 手助け

友人。


その言葉にはっとして、わたしもすぐに振り返る。来るの早!てかマジで来た!…と、思った言葉は吐き出さずに飲み込んで。


「…クオード様、ようこそ」


スカートの裾を持ち上げ、ぺこりと礼をするわたしを、クオードはすぐに立たせる。友なのだからそんな礼をする必要はない、と。

相変わらず綺麗な色をした目と、太陽の光できらめく金色の髪がきらきらしていた。この前見た時は夜だったから、昼間の彼はなお綺麗に映える。


「外へ一人で行くには、強さがいる」


「クオード様」


「心配なのはわかるが、過保護に過ごさせていい立場ではないだろう」


わたしへの言葉を制そうとするガリオンを、クオードが制する。立ち上がらせたまま握ったわたしの手を、クオードはじっと見つめながら呟いた。─魔力は充分そうだ。


「魔力?」


「必要なのは魔力だけじゃないがな」


わたしの手をとり、正面へ伸ばしかざす。何してるの?と思いつつもクオードの好きにさせていれば、手がむずむずとしてきた。むずむず?いや、なんというべきか…ぞわぞわ?不思議そうに見つめるわたしに、クオードは教えるように丁寧に話す。

─きみの魔力を引っ張って循環させているんだ。

─復唱しろ。 そんなクオードの言葉に、こくりと頷く。


「剣に誓う」


「剣に誓う」


「こころをひとつにし、共に歩むことを」


「こ、こころをひとつにし、共に歩むことを」


わたしの手を支えるクオードの手の光に釣られるように、わたしの手も光り出す。おおい、こんなことできるんですか!さすがファンタジー。

手のひらの先に現れたのは、剣の柄だった。わたしの手から零れる光の粒たちがゆっくりと集まり、かたちをつくっていく。最終的に現れた剣は、2本。両手で持つほど大きくも重くもないので、片手剣といったところだろうか。白鳥のような、綺麗な鳥がモチーフになっている剣だった。


「…それがきみの剣だ。二刀流とは珍しいな。ところで、剣をふるったことは?」


「な、ないです!」


「そうだろうな」


クオードも剣を出す。王子様らしく、レイピアのようだった。


「戦い方は色々あるが、力では多くの者に勝らないだろう。魔力はあるようだから、剣に魔力を宿すと圧倒できるはずだ」


「剣に魔力…?」


「フィールが剣の稽古が嫌いでね。手っ取り早く強くなるために、そういう戦い方をしてるよ」


剣を握るわたしの手を持ち、心配そうにわたしたちを見守るガリオンへ視線をやったクオードは、告げる。


「もっと広いところへ行く。俺がいるから安心しろ」


「…お嬢様、お気をつけて」


クオードの瞳がゆらりと揺れて、私の胸元にある光の世界のストーンがゆらりと光る。あ、もしかしてこの感じ、知ってる。瞬間移転だ。わたしを支える腕に咄嗟にしがみつき、目を閉じた。

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