第50話 収録(5)
ひどいゲームだった。まったく叩いてかぶってせず、じゃんけんだけで盛り上がってしまって、勝っただけで狂喜の舞を踊る高山。
そして、その後の仕切り直しであっさりと負けてしまった。
「……みんな、ごめん」
すごすごと帰っていく高山。
「しょうがないよ」「うん、しょうがないしょうがない」「勝負は時の運だから」「次の試合に集中しよ」「元気出して」「そんなことより、次私かもー」「ねー、不安だよねー」「ねー」「ねー」
ど、どんだけ自分に甘いんだよこいつら。
「ふっ……まったく。お前とお似合いの妹たちだよね」
おい、古谷。どういう意味だ。
「さて、気を取直して対決いきましょう。次の対決は……鉄棒ぶら下がり我慢対決ー」
パチパチパチ。
「これはですね、鉄棒にぶら下がっていただき、何秒我慢できるかを競う企画になっております。まあ、こうやって、オラウータンみたいにね……こんな感じでぶら下がってください」
「はい!」
「なんだ、柿谷?」
「新谷さんはどっちかと言うとナマケモノだと思います!」
「うるせーバカ!」
どっちも大して変わんないだろうが。
「じゃあ、二回戦はTYO49チーム間瀬奈と凪坂46チーム
またしても、TYO49チームはキラキラした少女が出てきた。
「皆さんの心の間にスルスルと斬り込みます! 間瀬奈です!」
そして、またしても可愛い自己紹介。
「……連城、いけるか?」
このイマドキ女子の自己紹介に対して、お前のイカれた自己紹介をやれる自信があるか? やれないんだったら、公式お兄ちゃんとしてーー
「トゥートゥー♪ トュルルルールッ、トュルルルールトュルルルー♪ 凪坂46の3PO、
・・・
「「「「……」」」」
自信満々でやったー!?
「お前……恥ずかしくないのか?」
「なにがですか?」
キョトン。
じゃねぇよ。
「……はい、余談はともかくとしてやりましょうか。さあ、二人ともやってもらいましょうか」
そう促すと二人ともガッチリとナマケモノ風にぶら下がる。
「間さん、意気込みを」
「頑張ります!」
「「「「「頑張れー!」」」」
な、ナイスコンビネーション。
「連城、意気込みを」
「ワ・レ・ワ・レ・ハ・マ・ケ・ナ・イ!」
「3POの真似をせんでいい!」
そもそも、それ、宇宙人のやつだろ。
「さあ、始め!」
・・・
1分が経過。
「おおっと……両者、硬直状態が続いております。これは、なかなか長期戦の様相を呈して参りました」
「負けない!」「絶対に負けないんだからっ!」
め、珍しく連城が熱くなっている。
・・・
5分が経過。
「これは……なかなか……」
かなり、長期戦だな……
「……おい、新谷」
「ん? どうした古谷」
「これって……マズくないか?」
「マズイってなにが……あっ!」
間と連城を見渡していると、まだまだ余裕な表情を浮かべている。
「絶対に負けません」「あと、2時間は耐えてみせます」
……そんなに尺がもたない。
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