第49話 収録(4)


「49回対5回で……TYO49の勝ちー!」


「「「「イェー!」」」」


 完敗という言葉がこれ以上なく似合うほどの完敗。いや、むしろTYO49は狙って敢えて49回にしている。


 おそるべしTYO49。


 そして、凪坂46……恐ろしい子っ(別の意味で)!


「さあ、ここでポイントはどうなっているでしょうか……ドン」


 モニターにポイントが表示される。


「プラスポイント……凪坂46は7650点、TYO49は4230点」


 相変わらず熱狂的なファンが多いのか、TYO49のポイントを圧倒する凪坂46。


 まあ、マイナスポイントはすでに7万を超えているのだが(俺)。


「続きまして、叩いて・被って・ジャンケンポーン!」


 パチパチパチ。


「はい!」


「どうした柿谷?」


「ルールを教えてください!」


「そのままだよ!」


 だいたいわかるやつだろうが。


「じゃあ、一回戦はTYO49チーム横溝夏子対凪坂46チーム高山里見の対決です。さあ、お二方とも自己紹介をして頂きましょう」


 そう言って、TYO49チームを見ると、「はい!」と元気よくひとりの女の子が飛び出してきた。


「サマーと言えば?」


「「「「夏ー!」」」」


「はい、フェス大好きサマソニ娘横溝夏子でーす!」


 キッチリと統率の取れたコンビネーション。


 ……恐るべし、TYO49。


「じゃあ、次は高山……いってやれ!」


「ねー、バーバ……巨神兵死んじゃったの? あんなものに頼るんじゃないよ……ノンノン私を頼ってください。凪坂46の巨神兵こと、高山里見です!」


            ・・・


「「「「……」」」」


 ……イカれてるな貴様の自己紹介!


 そして、誰の援護射撃もない。


 改めて……恐ろしい子たちっ!


「さあ、準備して」


「はい! 頑張ります!」


「お、おう頑張ってね」


 敵側MCの俺にも明るく可愛く振る舞う夏子ちゃんに、思わずデレデレしてしまう。


 でも。


「……高山も頑張ってな」


 俺は凪坂46の公式お兄ちゃん。


 そんな俺がこいつらの味方をしないで、誰が味方をしてやるというんだ。


「はい! TYO49に火の七日間を見せてやります!」


          ・・・


「「「「……」」」」


「それ風の谷のナウシカで昔、巨神兵が世界を滅ぼして視聴者に戦慄を与えたやつじゃないか!」


 こ、こんな説明ありきのツッコミをさせるんじゃねぇよ。


「……はい、余談はともかくとしてやりましょうか。せーの、叩いてかぶってじゃんけんぽん!」


「はい」「はい!」


 あいこ。


「叩いてかぶってじゃんけんぽん!」


「はい」「はい!」


 あいこ。


「叩いてかぶってじゃんけんぽん!」


「はい」「はい!」


「おおっと……あいこあいこで盛り上がってまいりました……さあ、なかなか白熱して展開でーー」



「はい」「はい!」


 あいこ。


「ちょ、ちょっと……まだ叩いてかぶって言ってないーー」


「はい」「はい!」


           ・・・


「「「「……」」」」


「勝ったー! 勝った勝った勝ったー! 新谷さん、私勝ちましたー!」


「お、おうよかったな高山……」


 ……ん?





















 ……いや叩いてかぶれよーーーーー!?

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