第48話 収録(3)
「おおっと、早速ですがマイナスポイントが凪坂46に集中しております」
古谷が嬉しそうに俺を見る。
「ちょっと待てよ。いくらなんでも、5万ポイントっておかしくないか?」
「まあ、確かに……おおっと、ここで検証タイム。まずは、TYO49のポイントの内訳ドン」
古谷がそういうと、モニターにメンバー毎のポイントが振り分けられている。まだ、出来たばかりなので割とメンバー毎の落差は少ない。
「さらにプラスポイントの感想を抜粋ドン」
『やっぱ可愛い』『チームワークバツグン』『クラウン的なオーラ」『新鮮さが際立っている』『みんなキチッといい返事をしている』『初々しい。本当に初々しい』
見たところ、おかしいところはない。と言うか、全然まともに人工知能が仕事をしている。
「さあ、次は凪坂46。まずはポイントの内訳ドン」
・・・
俺のマイナスが5万ー!?
「ちょ……これ……どうなって……いや、すいません。取り敢えずプラスポイントの感想をドン」
『んばばー! うんばばばばばばばば、うんばばばばば』『んばばー! んば、んばばばばばば』『カレー大好き東郷です! 東郷平八郎です……違うか!?』『オダママママママママママママー! ママママ……』『根野菜大好き能條真尋です! 根野菜大好き能條真尋です!』『ヒッチハイクでユーラシア大陸横断電波少年にぜひ琴音明日香を!』
・・・
これプラスの感想ー!?
「ねえ、スタッフさんたち。これってプラスかな。プラスなのかな!?」
おい、人工知能。この『うんばば』がなぜプラスなのか、俺にわかるように説明をしろ。
と、ここでスタッフからの……クソなカンペが。
「ええっと……ここでですね、マイナスポイントも見ていきたいと思います」
『ギャグが寒い! うんばばばばばばばば、うんばばばばば』『んばばー! 気に入らない』『嫌い! おっぱいマジシャンはママのオッパイに帰れ』『オダママをもっと前面に出せ!』『完全に降りろ。この公式お兄ちゃんから永久に引退をしろ』『剥奪ー!』
……おい、俺だって人間なんだぞ。
「と言うことでですね、早速始めて行きたいと思います」
俺はなにも見ていない……と言うか、目が涙で霞んでなにも見えない。
「第一競技は大縄跳びです。どれだけ息を合わせて何回飛べるか、すなわちチームワークが試される競技です制限時間は3分。飛んだ回数じゃなくて何回飛べるかだから、体力配分には注意してください」
「はい!」
「おっ、なんだ柿谷」
「私は体力の配分なんかしません! いつもステージでは全力って決めてます!」
「勝手にしろ!」
だいたいテメーには体力配分を考える回し役はヤラセねーよ。
「はいはい、じゃあ準備してね」
古谷の掛け声と共に、TYO49の子たちが一斉にスタンバイ。すでにフォーメーションも決めてあるようで、準備に1分もかからない。一方、凪坂46もまた、数名新たにトイレに行きたいという女子たちが発生したが、遅れて5分でスタンバイ……まあ、コイツらにしては早い準備だ。
「では、第一競技の大縄跳び……始め!」
結果から言うと、凪坂46のボロ負けだった。
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