第47話 収録(2)


「さて、仕切り直していきましょう!」


「ふ、古谷……お前、元相方だろう?その前に俺のギャグを成仏していけよ!」


「お前のギャグで成仏しそうになったから解散したんだよ!」


 ひ、ひどい。


「ええっ……と言うことで、チーム対抗運動会ー!」


 パチパチパチ。


 ……主導権は完全に古谷が握った。


 しかし、そんなことではいけない。公式お兄ちゃんパイセンとして、ここを仕切るのは俺の役割だ。


「本日はですね、凪坂46とTYO49のチーム対抗戦。各チームともに勝利を目指していただきます。しかし、それだけじゃありません。さあ、モニターオープン!」


 出てきたのは大きなスクリーンモニター。


「これはですね、視聴者の方とツイッターのツイート数と連動しておりまして、そのツイッターのコメント数で争っていただきます」


「はい!」


「おっ、柿谷。どうした?」


「つまりなにが言いたいんですか!?」


「ルールだよ!」


 言いたいとかじゃねぇよ。


「プラスコメントはプラス1点。マイナスコメントはマイナス1点で判定しますので、アンチが多かったりしたらその分得点は低くなっていきます」


 つまり、生放送。


 ネット配信とは言え、生放送。


 さっきのトイレで配信10分遅れ。


 軽い放送事故。


 てめーら、あとで反省会な。


「まあ、ルールは事前に配ってあるから。TYO49のみんなはわかるよな?」


 古谷がドヤ顔で、彼女たちを見る。


「「「「はい!」」」」


 い、いい返事。


「彼女たちだけじゃないぞ。凪坂46の子たちにも同じように配ってあるんだから。なあ、お前たち」


「「「「……」」」」


 へ、返事をしろ。


「はい!」


「おっ、柿谷。いい返事だ」


「つまりなにが言いたいんですか!?」


「だからルールだっつってんだろ!」


 いい加減にしろよお前。


「はい!」


「……なんだ、本田?」


「どうやってマイナスポイントかどうか見分けるんですか?」


「おっ、いい質問だな。まあ、これは人工知能で判別するみたいだな。例えば、『面白くない』とか『可愛くない』とか。そんなワードが入ってたらマイナスに。逆に『可愛い』とか『美しい』とかはプラスになるみたいだよ」


「……それって、『最初は面白いと思ったけど、別にそんなでもなかった』とかはどうなるんですか?」


「……」


「あと、『めちゃくちゃ面白かった』と『まあ、面白かった』は同じポイントなんですか?」


「……」


「それが、例えば同じポイントだとして、それが本当にファンの意向を反映していると言えるんですか?」


「……いや知らんー!」


 そんな複雑なこと、今さら質問するなー!


「答えてください!」


「ああ答えるよ後でスタッフに聞け座れバカ!」


「納得できません! 私は、キャプテンとしてファンの想いを汲み取る義務があります」


「それは事前に配布された時点でスタッフに聞け!」


「今でしょ!?」


「今じゃねーよ!」


 いい加減、林先生を『今でしょ!?』の呪縛から解放してやれ!


「……はい、ということで一部納得がいっていないメンバーが出ながらも進めていきたいと思います。異論は認めません。さあ、現時点での得点を見てみましょうか」


 そうモニターの得点を見ると、


 プラスポイントは凪坂46が4560、TYO49が2560で2000リードしていた。


 ……が。

















 マイナス5万ってなんだよおい。

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