友達

「おい!

 セレーナ・オブ・キング様に対して何たる無礼な!

頭を下げろ!」


 炎の龍はそう言うと、立ち上がって僕を押さえつけようとした。


「待て!」


 セレーナ・おbは、手を前に出してさけんだ。

 すると、炎の龍の動きが止まった。


「クン・・・。」


「いいよ。」


「ありがとうございます。

とりあえず、名前長いからセレーナ様って呼んでもいいですか?

 名前覚えるの苦手だから、間違えるのも嫌ですし・・・。」


「いいよ。

 でもホントに私そんなに偉くないから、これから様も付けなくていいよ。

あと、話し方もいつも通りで良いよ。

 私人見知りだけど、皆と友達になりたいから、普通に話してくれると嬉しいな・・・。

 ダメ?」


「!?」


 炎の龍は口をぽっかり空けて固まった。


「うん分かった。

 これからもよろしくな!

 セレーナ!」


 僕はここぞとばかりに強気に出た。


「よろしくね!

 晴樹!」


 僕達二人が笑顔で手をつなぐと、炎の龍が強くこっちをにらめつけてきた。


「第1位階のセレーナ・オブ・キング様に第12位階の余所者よそものが触れるなど、もし第1位階と第2位階の方々に見られでもしたら・・・。

 富士ノ晴樹イ、貴様は我が今ここで殺す!!」


「待て!」


「クン・・・。」


セレーナの待てに、龍は頭を下に下げて止まった。


「私は皆と友達になりたいの!

 仲良くしてくれるよね、ほのちゃん?

 あと、ほのちゃんも普通の話し方でいいからね!

いつも通りで良いよ!

私達もう友達でしょ?」


 少しの沈黙が続いた。


「・・・。

 了解でっす!

 セレーナちゃん!

 今日からセレーナちゃんと晴樹君とは友達だワン!

 よろしくワン!」


 何だこいつ・・・、さっきと性格変わり過ぎだろ・・・。

 ってかあいつ、顔が明らかに笑ってない・・・。

 ずっと俺のことを睨んでるし・・・。


 炎の龍はセレーナの前では笑顔だが、セレーナが見ていない時は晴樹をとてつもなく怖い顔で睨んでいた。


「ありがとーほのちゃん!

 だーい好き!」


 セレーナは炎の龍へ抱きついた。


「ほのちゃんも大好きだワン!

 これからもよろしくだワン!

 でも・・・もうお別れだワン・・・。」


「どうして!?

 せっかく私達友達になれたのに。」


セレーナは両手を握り、不安気な表情をした。


「セレーナちゃんは帰らなきゃいけないワン。

 きっとお父様である神王様もきっとセレーナちゃんを探してるワン。

 そこの扉を通れば第1位階のワールドアイランドに直通でいけるワン。

 ほのちゃんもせっかくセレーナちゃんと友達になれたけど、記憶を失ってるなら尚更直ぐにでもお父様の所に帰った方が良いワン。」


 ほのちゃんは涙を流した。

 その後、セレーナも涙を流した。


「嫌だよ、そんなの・・・。」


 また少しの沈黙が続いた。


「僕もお父さんの所に帰った方が良いと思うよ。

 相当心配してると思うし、またきっと直ぐに会えるよ。」


 僕もほのちゃんとは同意見だった。

家族と会えないのはつらいし、なによりセレーナがこんな危ないところにいるのは危険だからだ。

いつ、あんな戦いが起こるか分からないし・・・。


 ふと視線を感じたので見てみると、炎の龍が僕に対して満面の笑みでgood合図をしていた。


「そうだね・・・。

 分かった・・・。」


セレーナは悟ったかのように下を向いた。

そして、そのままゆっくり扉へと歩いていった。



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