開けゴマッ!!
僕は今、死にそうなほどドキドキしています。視界は真っ暗でおまけに神宮寺先輩が手を繋いでいてくれています。
――あの神宮寺先輩がっ!!
多分いや、絶対にマミ先輩が見たら気絶しますねっ! 断言できる!
とテンションを無駄に上げてみてもどこに連れて行かれるのかもまっったく分からないこの状況。好奇心よりも怖さの方が勝る。
「……あの神宮寺先輩? あの、聞いてますか? あの〜あの〜」
「あのあのうるさいんだが。黙れないのか?」
あぁ、怒られてしまった。顔が見えないからどんな表情をしているかもわからないよ。
っていうかガヤガヤと周りから声はするけれど、僕たちの状況を気にする人がいないのか誰も僕たちに話しかける者はいない。引いてるだけなのかな。
「関口」
「は、はい! なんですか」
「少し手を離すぞ、動くな」
あっ、とかちょっと待ってとか言う前にそばにあった温もりが一瞬で消えた。
いやいくらなんでも居なくなるの早すぎない? 僕はどうすれば……もし誰かに見られでもしたら、噂になっちゃう。
そしたらきっと……。
「神宮寺せ、せんぱいと手を繋ぐ? それで目隠しな、なんてハレンチすぎますっ!!――関口くん、幻滅し、しました! もう一緒にい……たくないです」
とか言われたら僕は耐えきれないかも。前髪でよく見えないは瞳が、その時に限ってよく見えるんだ!! そして綺麗な顔を歪ませてさらには汚物を見るような視線で……と絶対こんな感じになってしまうと、思う。うん。
「うぅ、どうしよう………あぅ」
「……きぐち、関口っ!! どうした、顔色が悪いぞ」
「――ハッ! あ、いえ。なんでもないです」
「ならいいが、無理はするなよ。何かあったら言え」
「はい。ありがとうございます」
なんて優しい先輩だろうかこの人は。
「目隠しを外すぞ」
バッと外されると、外の景色に目がチカチカし始める。しばらくしたらおさまるだろうけどそれまでがちょっと苦手なんだよねあれ。
「ここは……」
目の前には大きな扉。綺麗な装飾で彩られていて、綺麗だなという印象を持った。扉に綺麗というのも変だけど。
少し普通の扉とは違うと感じたのもそのせいかもしれない
「いいか、耳を塞げ。今から扉を開けるための呪文を唱える。もう一度言う耳を塞げ」
「はい」
うずくまり耳を塞ぐと先輩がボソボソと口にするが、声が小さくよく聞こえない。
「ふぅ、いいぞ。あ、お前はなんで座り込んでるんだ」
「耳を塞ぐのですから座りますよね?」
「……?? そういうものなのか? まぁいいか。それより見ろ、扉が開いただろうその先が――あやかし通りだ」
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