保健室にて
「……ん」
僕が目を覚まして見たものは、知らない天井だった……んだけど消毒液の匂いがする。
「ここは……保健室?」
「正解よぉ!」
横から知らない声がして、思わず飛び上がってしまった。横腹まだ痛いんだけど。
「せんせい?」
「えぇ、私は保健室の先生なのよぉ。フフッ関口くん」
あっ、舌が回らないや。保健室の先生が嬉しそうに僕を見ている。白衣を着ていてフワフワの髪が触り心地良さそうだ。名前はなんだっけ、えっと……。
「なんでベットに寝てるんでしたっけ?」
「それはね、フフッ」
途中笑いながらも話してくれた先生の話によると僕は、岡村の豪速球(雑巾)に横腹をやられたらしい。豪速球(雑巾)なら仕方ないね!!
「うん、見た感じどこも悪くはなさそうだから、平気ね。関口くんは何号室だっけ?」
「何号室って?」
僕がそう尋ねた瞬間、先生の動きが止まった。固まっていた先生が何かを言おうと口を開いた時――
「関口くんは!! お、お家に帰るそうですッ!」
ガララと勢いよくドアが開き、早苗さんの大きな声が保健室に響いた。走ってきたのか、ずいぶんと息が切れていた。
「お、おぉ。良い声だね!」
「…………ぁぅ。えっと、心配だから家まで、送りますっ」
早苗さんは顔を真っ赤にして、保健室を出ていった。
僕、早苗さんに家の場所を教えたかな? そんな記憶ないんだけど。まぁとにかく……。
「先生、ありがとうございました」
「いえいえ、先生なんだから当たり前よぉ」
「それでは」
「えぇ、フフッ」
*****
「ほら、彼女さんも待ってるんだからぁ」
「かかかか彼女さんじゃないですっ!」
「あらー、それはごめんなさいね。フフッ」
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