第25話

何か、鋭利なもので引き裂かれたような感触。


振り返ると、そこには腕を血に染めた、ガーゴイル。


私は、激痛をこらえ、反撃した。


しかし、弱々しく振るった鎌は、空を切るのみ。




「モンスターが発病したのか……」




 モンスターは、極度のストレスによって発病する病気だ。


さっきまで子供だった奴は、それでガーゴイルになっちまったのか。


子供なんかに構うんじゃなかったわ。


後悔してる内に、目の前の奴は、邪悪な顔つきで、私を殺すべく動こうとしている。




「ぜんっぜん、かわいくねーな」




 可愛いとか、今はどうでもいいか。


だが、鎌を握る力が背中から逃げてく感じだ。


ダメ、かもな……




「……!」




 その時、横から別なガーゴイルが、目の前の奴に突進してきた。


馬乗りになって、もう一匹を殴りまくっている。




「ラッキー、味方か!」




 ……つっても、状況が最悪なことに変わりは無い。


上空にも、右にも左にも、ガーゴイルが殺到している。


何でこんな私に集まるのか。


多分、シンが私のことをヤバい奴、早急に殺せ、みたく考えてるからだろう。




「……もう、賭けるしかねぇ」




 周囲の奴らを、まとめて催眠にかける。


そいつらを全員、私の兵隊に変えて、戦わせ、離脱。


その最後の隙をついて、ウォーリーの実家に逃げ込む。




「……」 




 ……嘘、だろ。


私は、絶句した。


周囲のガーゴイルが、みんな消えた。


連中には、いっちょ前に学習能力がある。


私の鎌の能力を警戒して、一旦影に身を潜めたに違いない。




「……なめんじゃねーぞ」




 私は、鎌の刃を下に向け、全神経を集中させた。














 どうにか、ウォーリーの実家に入ることに成功。


裏庭の窓から入ることが出来た。


んで、どうやってさっきのピンチを切り抜けたかだが、シンゲツに救われた。


あいつの、鎌の力を覚醒させる、っつー発想。


上手くいくか、賭けだったが、成功した。


私は、空間ごと催眠をかけて、影の中に潜んでる奴もろとも、催眠に落とした。


今、連中は同族同時で殺し合っている。




「ざまあ、みろ……」




 つっても、私だって満身創痍。


血を流し過ぎてるし、ここから無事に帰れるか、分かんね。


部屋の中を歩きまわって、探す。


ここに、何かがあるハズだ。


私は、引き出しやら、冷蔵庫やら、所構わず部屋を荒らした。


だんだん、楽しくなってきたのは気のせいか。


そして、畳のある部屋に入った時、その奥に、何かが祭られているのが目に付いた。

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