第20話

牢屋ん中にいる以上、私ら死神は手出しできない。


だから、奴が表に出てきた所を狙って殺す。


私は、ゲッコウと連絡を取り、刑務所の近くにキャンプを設営することにした。


数日後、近場の死神ら(クロサキ、レモン、シンゲツ)が集められて、ガーゴイルこと、シンがいつ逃げ出しても仕留められるよう、準備が整えられた。




「つっても、全然、出て来る気配ねーよな」




 私は、鉄板の肉を焼きながら、ぼやいた。




「それ、そろそろイケるだろ」




 シンゲツがまだ焼けてない肉を自分の皿に取り分ける。




「おめっ、それまだ焼けてねーぞ!」




「レモン、俺の器にレモン汁、かけてくれよ」




「はいはい」




 私の言葉を無視して、レモンが鎌を取り出し、先端から垂らした液体を皿に落とす。


レモンの酸は、薄めればレモン汁として利用することが出来る。


焼き肉を食おうと言い出したのはシンゲツだが、こんなんしてる場合か?




「……なあ、いつシンが出てくるか分からねーのに、暢気にこんなことしてていいのか?」




「お前がシンを脅したから、ビビってしばらく出てこねーだろ」




 肉を頬張りながら、シンゲツが呟く。




「気になるなら、俺が様子を見てこよう」




 そう提案したのは、クロサキ。


クロサキなら、影の中を移動できる鎌の能力を駆使して、シンの様子を見に行ける。




「……頼むわ」




 クロサキは、鎌を手に持ち、施設の方へと歩いて行った。
















 クロサキが探索から戻り、暇な私らは、丁度4人ということもあって、麻雀をしていた。


テントの頭上にランタンを引っかけ、中央に卓を置く。




「レモン、それ、ロンだわ」




「また私? カンナ強すぎ」




 元々ギャンブル好きな私にとって、麻雀はお手のものだ。


クロサキが、ちらとウォーリーの方を見やる。




「……あれは、放って置いていいのか?」




「2時間置き位にミルク飲ませときゃ平気だって。 それより、次、やろーぜ」




 ガチャガチャと牌をかき混ぜてる時だった。


テントに不気味な影が浮かび上がった。


みな、瞬時に臨戦態勢に入る。




「何々、どした?」




「カンナ、敵だっ」




 他の3人が鎌を持ち、外に出る。


遅れて私も外へと出ると、そこには人の丈程ある、二足歩行のコウモリみたいな化け物が、徘徊していた。


ガーゴイルだ。


クロサキが影の中を移動し、ガーゴイルの背面に迫ると、鎌で体を押さえ込み、動きを封じる。




「レモン!」




「分かってるっ」




 呼びかけに応じ、レモンが鎌を構え、酸の刃を飛ばす。


しかし、次の瞬間、ガーゴイルがクロサキごと、地面に消えた。




「……え?」




 影の中から、血塗れのクロサキが投げ捨てられた。






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