第18話

私がバイクに跨がると、スターが走ってきた。




「待って下さい!」




「……何だよ、あんたも来んのか?」




「いえ、先ほどの彼女が、コレを」




 スターが手にしてるのは、紙切れだ。


それを受け取り、書かれている内容を確認する。




「どっかの住所か」




「彼女の実家の住所、との事です。 もし、手詰まりになったら、ここへ」




 こんなん、ぜってー行く流れじゃねーかよ!


意地でも行かねーからな。


……まあ、貰っといてはやるけど。


私は、紙切れをポケットにねじ込み、ケイトから聞き出した住所へと向かった。














「……ここか?」




 キタノ区2-275番地。


街の中心から離れた、寂れた荒野だ。


そこに、ある施設が置かれている。




「イーストシティ刑務所、か」




 殺人とか、凶悪な犯罪者が収容されている刑務所だが、この中に、ガーゴイルがいんのか?


でも、それだとおかしな話になる。


ガーゴイルは現在進行形で殺人を行ってる。


ムショに入ってる奴が、どうやって殺人を犯してんだ?




「考えても始まらねーし、入ってみっか」




 鎌をバイクに立てかけて、ウォーリーを抱えて入り口の自動ドアまで進むと、壁に取り付けてあるインターホンを鳴らした。




「はい」




「あの、ちょっと中、入れてくんないすか?」




「要件は?」




「面会っす」




「ご予約は?」




「……してないっす」




「許可の無いものは中には入れられない。 お引き取りを」




 ……だめか。


相手がインターホンじゃ、私の鎌も無力だ。


しかたねーから、少し強引な方法を使うことにする。


一旦、コンビニに向かい、ビールのつまみとかに合う、チーズを購入。


その足で、裏手にあるゴミ置き場に向かうと、私は、地面に這いつくばって、ある生き物を探した。




「……いたっ」




 ネズミだ。


早速、チーズを袋から取り出し、こっちにおびき寄せる。




「チチチッ」




「おい、こいつをよーく見な」




 私は、鎌を揺らして、ネズミを催眠状態に陥れた。














 刑務所に戻って来ると、ポケットからネズミを取り出し、命じた。




「キュービクルん中にある、メイン電源をショートさせてこい」




 キュービクルっつーのは、要するに電源の引き込み箇所だ。


そこをショートさせちまえば、電気で制御してるこの建物は、出入りが自由になる。


私は、ネズミを塀の向こうに投げ入れ、その時を待った。














 

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