第12話

部屋に戻ると、ウォーリーにミルクを飲ませる。




「ぐびっ、ぐびっ」




「はは、何か、マジで母親になった気分だわ」




 飲み干す間暇だった為、テレビを付ける。


丁度、どこぞのニュースキャスターが、原稿を読み上げる場面だ。




「とうとう、10人目の犠牲者です。 殺されたのは、ケイト捜査官(31)で、イーストシティに現れた連続殺人犯の捜査を続けていましたが、遺体として発見されました」




 イーストシティは、この国でも特に治安が悪いことで有名だが、過去最悪の殺人事件として、連日このニュースを取り上げている。


……てか、今、何て?


ケイト?




「まーま、まーま」




「……!」




 テレビに映る女性の顔。


まさか、殺されたのはウォーリーの母親!?




「おいおい、マジかよ……」




 ケイトは、連続殺人犯を追う捜査官だった。


勝手な想像になっちまうが、自分がいつ殺されてもおかしくない状況で、ウォーリーを頼める身内もいなかった。


だから、街から離れたホテルにこいつを置いてきた、そういうことなのか?


ビックリし過ぎて、食べかけの大福がテーブルに落ちる。




「……お前、帰るところ、無くなっちまったぞ」




「ぐびっ、ぐびっ」




 グビグビ飲んでる場合じゃねんだけどな……


さて、どーすっか。


こいつを放っておく訳にもいかねーし、かといって、私が母親になるのもどーかと思う。




「……せめて、敵討ちだけでもしといてやるか」




 この連続殺人犯は、既に死神のターゲットになっている。


それでも、中々尻尾を出さないで、殺人を続けているから、大した奴だ。


目的が決まって、そろそろ風呂に入ろうかと思った矢先、ラインが鳴った。


携帯を取り出し、通知を読み上げる。




「夜中の12時に、私と勝負だ」




 ラインの相手は、レモンだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る