第7話

「おいっ、起きろ!」




「あと3分だけ~、ムニャムニャ……」




 スパコーン、と鎌の柄で殴られ、私は目を覚ました。




「はっ」




「起きたか。 どうやら、俺の能力であんたに悪夢を見せちまったらしいな」




 こいつの能力……


マイクは鎌を握って、その直後に私は眠りに落ちた。


私の鎌を伝って、ヴァレンタインに仕掛けるハズだった何らかの力が、私の方になだれ込んだのか。


 ゆっくり起き上がると、ハイウェイの上に、大の字になって倒れているヴァレンタイン。


胸には、鎌が突き立てられ、死んでいるようだ。




「殺したのか……」




 マイクは、咄嗟の出来事だった、と言った。




「……あんたも、俺のことを口外しないことだ。 ああなりたくなかったらな」




 マイクは一体、何者なのか。


本当に、エイリアンなのだろうか?


それよりも、厄介な問題が起きた。


第三者が、私の鎌を使って人を殺しちまった。


これは、死神のルールに違反する。


すぐに、携帯が鳴った。




「……カンナだ」




「私だ」




 電話の相手は、上司のゲッコウだ。




「死神の鎌を他人に使わせたな? すぐに私の所に連絡が入ったぞ。 ルールに則って、三日間、死神の免許を剥奪する。 三日たったら、また連絡する」




 ゲッコウは、一方的にそう述べると、携帯を切った。
















 サイドカーを泊めている、スタバの駐車場に戻って来ると、ウォーリーを抱えて車から降りた。


別れ際、運転席のマイクに声をかける。




「短い付き合いだったけど、またな」




「……ああ」




 マイクはこの街を出る、と言っていた。


急がないと、ヴァレンタインみたいな追っ手がやって来るだろう。


すぐに、ここを離れるハズだ。


私も、急いでここを離れた方がいい。


 死神は、死神を殺せないってルールがある。


死神の仕事に、死神を殺せっていう依頼は原則ない。


だが、私は今、そのルールに守られていない。


もし、リストに私の名前が載れば、連中は飛んでやって来るハズだ。




「ここから少し離れた隠れ里、クサツに向かうか」




 私は、サイドカーに跨がり、アクセルをふかした。




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