第3話 美味しいは正義
コトコトコトコト
トントントントン
一人暮らしで覚えた料理は手馴れたものでジャガイモ、ニンジン、玉ねぎを切り、肉は鶏肉があったのでそれらの材料で作っていく。
もちろん、ローリエやシナモンなどの調味料も入れているのだ。
カレーは一人暮らしなら必ず作る鉄板料理ではあるのだが、どうしても飽きてくる。
そんな中で、俺が考え出したのは、色々な会社のルーを入れて味の違いを開発すると言うものである。
決して美味しさを求めていたわけではない。
半ば意地でやっていた様なものである。しかしおかげで色々なルーや調味料が余っているし、それぞれの辛さでベストなカレーを作ることが出来る様になったのである。
今回は子供向けであり、当然甘口カレーになる。このカレーで少しでもあの子を笑顔に出来ないと後の空気が耐えられない。
しかも気を使わせると小心者の俺には耐えられない。だからこそ素早く、美味しくが求められる上に、カレーの匂いで楽しませる必要もある。
子供相手に神経をすり減らす小心者さ、、、
普段から料理は面倒だけど必要であると思っているからスピードは結構重視して作っている。そのため料理のスピードは早い方だ。
どちらの理由にしても決して前向けではないが、今はその様な事は些細な事であり、成り行きで引き受けてしまったこの子をどう上手く関係作りしていくかが重要である。
引き受けてしまった以上面倒は見る。
ただ、後のことは考えると面倒であるため、もう取り敢えず進むだけである。
だいたい田舎で一人暮らしをしながら独立して仕事をしているのも、単純にのんびりしたかったからである。
実家の近くであるため地の利もあるし、田舎だから24時間営業の無人野菜販売所だってあったり、親がもらった食料をもらったりと食うにも困らない。住むにしても家賃も安いし出費は少ない。車は必要だが、こだわりは無いから中古の軽であり、その程度である。
それと田舎だからとなめないで欲しいのだがオール電化なのである。
これは仕事で関わる人からもよく言われるが、むしろ田舎だからこそオール電化であると俺は思う。都市ガスなんて無理だし、プロパンだって田舎まで運ぶ意味がわからない。
IHは田舎のためにあるものだと強く言いたい。
仕事で関わる人たちは田舎に新築のマンションやアパートは無いとでも思っているのだろうか?
東京にも数年住んでいたが、むしろユニットバスというものに驚いたし、家賃の高さも驚いた。はっきり言って東京の2ヶ月の家賃で1年家を借りることが出来る。
そう思った時、心が豊かになった気がしたのだ。
まぁ、今の自分がいるところを正当化しているだけなのだが、暮らしやすさでは上であると思う。
食べ物が豊かなら心が豊かになる。美味しいと笑顔になるし、なってくれるのを見ると嬉しい。
美味しいは正義であり、絶対的な正しさを持つ。
このカレーで笑顔になってもらえれば、それは俺の幸せでもある。
、、!、、
と言うよりそれを彼女に作ってもらいたい、、、
少し苦い思いも入れながら俺はカレーを作っている。
むぁ、さくらが笑えばそれでいいか、、、
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