第2話 はじめまして

他の手続きはやっておくと言い残しそそくさと逃げていった母親はさくらと言う小さな女の子を置いていった。


「、、、、、」


(気まずい、、、)



お互いに短い時間ではあるものの、感覚的にはとても長い時間の沈黙が続いていた。


何か話さねばと思うものの何も浮かんで来ない。


「取り敢えずうちに入ろう、、、」


精一杯の言葉がこれである。


何も言わずさくらは頷くだけで付いてきた。


俺はこの子がどんな状況に置かれており、どんな傷を心に体に受けたいるのかを詳しくは知らない。

そのため、NGワードがわからないのである。


(くそぅ、、、何か話さねば、、、)



「よ、よろしくね」


うるさい、これが精一杯だ、、、

情けないと笑うが良いさ

俺にだって出来る事と出来ない方があるのだよ


そう心で呟いていると小さな声「よろしくお願いします」

と聞こえた。


流石に返答があると心が楽になる。

ほんの少しではあるが空気が和らいだ感覚がした。



「取り敢えず大変だったと思う。しばらくの間かもしれないが、くつろいでくれ」


4歳児か5歳児にかけるべき言葉ではないのだが、言葉か上手く浮かんでこない。


俺も別に在宅で働いてはいるものの、コミュ障ではない。コンビニでチキンだって店員に頼めるし、コーヒーショップでコーヒーだって頼めるのだ。


ちょっと子供に耐性が無いから上手く間を繋げてないだけさ。

時間が経てば和気あいあいなんだ!





そう心で誰かに文句を言いながら取り敢えずリビングに案内する。

このさくらと言う子の荷物は先程の母親が待っていたボストンバッグだけだ。

恐らく中身は着替えなどが一通り入っているのだろう。


まぁ、細かい事は気にせず、後は生活に関して考えていくことが先決である。


未だタドタドしいが前に進まなければ始まらない。

取り敢えずばこの子が寝るべきスペースの確保として余ったいる部屋を掃除をして貸し出すか。


そう考えて取り敢えず話をしてみた。


「取り敢えず今余っている部屋があるから、そこを寝れるようにするね?何か欲しいものとかあるかな?お兄ちゃんに言ってくれたら準備するから何でも言ってね?遠慮しなくて自分の家だと思ってゆっくりして良いからね?」


自分が出来る、いや、本来持っている以上の力を振り絞ってとても親しみやすく喋ってみた。



「、、、なんでも?、、」




お?

良い反応かな?


「そうだよ?大丈夫だよ?何かあるかな?」



「ここにいていいの?」




「うん?大丈夫だよ。ゆっくりして良いんだよ」


取り敢えず丁寧に対応して、出来る限り早く信頼は得る必要がある。


取り敢えず食べ物で交友を図る

外交を行う議員だって食事会で重要な会議を行うと聞いたことがある。ならば同じ日本人であり、議員ほど固まった頭のない素直な子供ならより友好を図れるだろう。

そう考えて聞いてみる。


「嫌いな食べ物はあるかい?」



「、、、ありません」



ちょっと重い返答であったが、まぁ上々であると考える。



「カレーは好きかい?」



「、、、はい」


「さくらちゃんでも食べられる辛さにするから大丈夫だよ。ちゃんと美味しく作るから期待して待っててね。」


もうこうなれば勢いだ。


一人暮らしはカレー、シチュー、ポトフの流れは絶対だ。

材料がほとんど一緒だし、次の日もメニューを考えずに済む。だからこそ、それぞれにこだわりを持っているのだ!

子供でも美味しいと言ってもらえると思う。



取り敢えず食事でまずは仲良くなろう!!



「美味しいの作るからね!」








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