第8話 触手、日本史を軽くおさらいする

 弥次郎は光の奔流の中を流れていた。


「こ、ここはどこだあああああああ!!?」


「ここはすべての魂が辿り着く記憶の道だよ弥次郎君」


「それ進撃や!!」


「それでその記憶の道に具体的な数字とわりと有名な人の名前を配置するとこんな感じになるよ。数字は西暦表記にしたよ」


BC250年頃

徐福

AD150年頃

卑弥呼

AD900年頃

源頼光

坂田金時

AD1000年頃

紫式部

AD1200年頃

巴御前

鈴鹿御前

AD1550年頃

織田信長

豊臣秀吉

AD1615年(豊臣滅亡)

伊達政宗

徳川家康

AD1855年頃

沖田宗次

土方歳三

緋村剣心

AD1915年頃

釜戸炭次郎


「なんか実在してない人も混じってるんだが」


「わかりやすそうな人だから入れる事にしたよ。まず秦の始皇帝という人に不老不死の薬を探せと命令されて、徐福という人が中国から船にのって東の海に渡るんだ。始皇帝は昔の中国の王様だから、つまり海を東に行くとそこには日本があったんだけど不老不死の薬はみつからなかったんだ。このまま帰っても始皇帝に処刑されるのはわかっていたから徐福はそのまま日本で暮らすことにしたらしいんだ。当時の日本人は洞窟に住み、石槍で獣を狩って毛皮を着て暮らしていたらしいんだけど、徐福は彼らに家の造り方。お米の造り方。布を使った服の造り方。文字の読み書きを教えたっていう説があるよ」


「なろう主人公かな?それで徐福はどうなったの?」


「たぶん今頃子孫達が佐賀県でゾンビのアイドルとして活躍してるんじゃないかな?それで三百年くらい経つと中国の魏志倭人伝て本に日本の事が書かれているよ。この人が卑弥呼だね。その後千年くらいかけてゆっくりと東に移動し、現在の京都に王様。つまり天皇が街を造る。源頼光はその配下の武士だし、紫式部は西洋風に言えばメイドだ」


「メイドという表現もどうかと思うが」


「ただ、日本各地に領土を持つ侍たちが畑を耕し、農民達を盗賊から守ってる俺達の方が京都で遊んでる天王貴族よりももしかして偉いんじゃね?と考えるようになり、京都を中心とした支配体制は百年も経たずにガタガタになり、誰が日本の支配者になるかっていう戦国時代になる」


「鈴鹿御前と織田信長が出てくるまで間に三百年くらい間があるな」


「兵器の技術革新と戦術の発展がなかったからね。ヨーロッパからやって来た鉄砲を信長が大量購入して戦場で使用し始めたんで一気に日本の統一が進んだんだ。実際、信長が死亡した後、日本の命運を決める戦いでは豊臣、徳川両方が鉄砲を使って戦っているよ」


「なんで政宗の名前が入ってるんだ?」


「彼は家康の部下になって戦って戦国の最終決戦を生き残ってるんだ。逆にライバルの真田幸村は豊臣陣営について死亡しているよ。その後三百年徳川の時代が続いて、幕末がくるね。詳しいことはるろうに剣心でも読んでね」


「剣心かいっ!!」


「そしてるろうに剣心の十年くらい後が炭次郎の時代だね。彼らが最終決戦を終えて間もなく日本軍部の暴走が始まるから、無惨を倒して刀を捨てました。っていうラストはタイミング的にベストだったと思うよ」


「俺、コミックス派なんだけど」


「おっとネタバレしてしまったかな。ごめんよ弥次郎君」


 クイックムーバーは素直に謝った。

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