第2話 触手、弥次郎を調べる
「ボクの事を語る前にまずは弥次郎君の事を語らなければならないね!それにはこの部屋を説明するだけいいのさ!」
「なに?どういうことだ!!」
弥次郎はうろたえる。
「まず、弥次郎君。君が今いるのは学校の教室ではなく君の自宅の部屋だという事さ!」
「なに!つまりどういうことなんだ!!」
「ほら。あるでしょ。学校で授業で受けてる時にゾンビの大群が攻めて来るとかテロリストが襲撃してくるとかそういう妄想」
「今はマスクをして通学して窓を開けて換気をしながらウィルス対策する学生生活だぜ!!!」
「凄いよ!SFみたいな生活だね!!つまり君は突然覚醒して強くなるという事はない事さ!!」
「くっ!そういうことかっ!!」
「さらに君は道路にいるわけでも、今現在食事も睡眠もトイレもお風呂も行かずに365日間MMORPGをプレイしているわけでもないっ!!」
「いや。帰宅して部屋に帰ったばかりだからな」
「つまり異世界転生することもないということ。即ち今の君はなんのチート能力も持っていないという事さっ!!!」
「確かに!俺は十六歳のただの高校生だっ!!」
「そんな君に究極のチート能力をあげよう!!」
「なんだとっ!?お前がチート能力を渡すと言うのか!!?」
「そうだよぉ~~~今まで日本のラノベ作家が用意したどの能力よりも凄い究極の能力だよ。それはね」
「それは?!!」
弥次郎は思わず身を乗り出した。
「四百年後に宇宙人の大艦隊が攻めてきて地球を滅ぼす能力さっ!!」
「ふざけんなっ!!中国のSF小説のパクリじゃねーか!!」
「何を言っているんだい弥次郎君」
クイックムーバーは触手を振り振りさせながら言う。
「インターネツで有名な言葉があるじゃあないか。このハンバーガーは世界で市場濡れている。このコーラは世界で一番沢山売れている。だからハンバーガーとコーラは一番うまいんだ。この理屈でいけばこの四百年後に宇宙人の大艦隊がせめて来て地球を滅ぼす能力こそが最強なんだ」
「もっと即物的なものにしろっ!!」
「わがままだな弥次郎君は」
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