第5話律子

その日夏帆と帰る為、大学の校門をでた時、その人は私の目の前に立った。


「小日向さんですか?少しお時間くださらないかしら。リョウジさんの件で。」

そう話しした彼女は、如何にも高級そうな上品なスーツを着こなした女性だった。

夏帆は心配して離れたがらなかったけど、大丈夫だからと言って先に帰ってもらった。

そして高級車のなかでリョウジはだれもがしっている大会社のCEOである事、彼女はリョウジの婚約者である事を初めて知った。

最後に

「別れて下さらない?貴方の両親の務めている病院は私の家の傘下のものだから、おことわりされたら、どうなるかわかりますか?

こちらは手切れ金です。」

と彼女は言った。

私は何も言わず、お金は彼女に叩きつけて車から降りて家に逃げ帰った。

呆然とした。そして初めてリョウジを失うことを実感した。自分が思うより彼を愛したことに気づいた。

一晩考えて、次の朝携帯電話を解約して夏帆と両親の連絡先以外消した。


よくよく考え考えたら携帯番号以外彼のことは知らない。ただ一緒にいたい人だった。

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