第2話 夏帆の悩み

「また別れたの?」

「声でかいよ。律子。」

「だっていい人だったよ。」

「胸ばっかり、私をきちんと見てくれる人がいいの。」

「胸だって夏帆じゃない?」

とあきれた顔の律子。


私だって今度こそはと思っていた。

思えば、中学生の時、バレーの先輩に告白して付き合ってもらった時に遡る。

私は本当に嬉しかった。

その数日後、体育館に差し入れをもって行ったら、体育館裏で友達と話中だった。そっと離れようとしていたら、

「お前、夏帆と付き合ってるんだって?」

「おっぱいでかいしいいよなー」

その次の言葉が一生忘れられない

「おっぱいでかいしエッチな身体してるから、楽しみだな。告白されてラッキーとおもってさ。つきあうことにしたわ。」

「お前、ゲスいぞぉ。」

ケラケラ笑ってる。

そっと逃げ去った。


数日後、2回目の先輩との帰り道、公園のベンチに座って話している時にキスされた。

初めてだった。

「俺んち来ない?今日誰もいないんだ」

「ごめんなさい。今日は塾があって」

顔がガラッと変わっていかにも、冷めた目で見られた。

お互いそっけなくなり、帰った。

その後、仲の良い女の先輩から心配して連絡があった。

先輩がもったいぶってさしてくれないとか、サセ子のくせにとか、何人かで行くかとか話してる。気をつけてって。

怖くなった。

その後先輩が別の女の子と付き合いだした。


風の噂で聞いた話では、できちゃった婚したらしい。


その後も大学入っていったサークルの飲み会でも「おっぱいデカいね」とか、酒飲んで勢いでさわられたりするから辞めた。


「律子。私がおかしいかな?」

「夏帆がちがうと思うならそうなんだと思うよ。」


私は律子が羨ましい。律子みたいになりたい。律子の彼には会ったことないし、あんまり彼の話はしないけど、律子は彼のことがすきなんだと思う。


初めて律子に会った時、なんて綺麗な人だろうと思った。モデルさんみたいにすらっとして顔が小さい。長いストレートの少し茶色の髪。オトナぽい落ち着いた美人だ。歩くと男の子が振り向く。

いつも講義の時一番後ろに座っていた。友達になりたくて勇気を出して声かけた。

気さくで話聞上手。頭がよくって自慢の友達。



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