犬と猫

倉田京

犬と猫

♀『犬と猫の違いってなに?』


♂「見た目が全然違う。はい終わり。そんなこと言ってないで早く文化祭の出し物決めようぜ」


♀『人間だって全員、見た目違うよ。目の色とか。私は髪長いけど裕也ゆうやくんは髪短いじゃん。でも私たち同じ人間だよ』


♂「えーっと…じゃあ鳴き声が違う。犬はワンワンで猫はニャー。ほら早く案考えようぜ。決まってないのウチのクラスだけなんだから」


♀『てことは、私の家にいるタマも、ワンワンって鳴いたら犬になるってこと?』


♂「ワンワンって鳴く猫なんていねーよ」


♀『じゃあ例えば、私がこれからずっとニャーしか言わなかったら、私は猫になるってことかあ』


♂「高校生にもなって屁理屈へりくつ言うなよ」


♀『屁理屈じゃないよ。疑問に思っただけ。犬と猫の違いってどこにあるのかなって。あ、もしかしたら裕也くんの家で飼ってるポチも、人が見てない所ではニャーって鳴いてるかもよ』


♂「変なこと言うなよ」


♀『変じゃないよー』


♂「そういう変なことばっか言ってると、色々ダメになるぞ」


♀『色々って?』


♂「うーん、彼氏ができないとか」


♀『変だと恋人できないの?』


♂「そう」


♀『じゃあ裕也くんも私と同じで変なんだね』


♂「俺は普通だ」


♀『でも裕也くん彼女いないじゃん』


♂「あえて作らないだけだ!」


♀『うーん、やっぱり犬と猫の違いが分からないなあ』


♂「まだその話続けるのかよ。あー分かった。犬と猫の間には子供ができない。だから別の種類の生き物」


♀『ああ、なるほどね。分かりやすいかも』


♂「だろ?」


♀『ポチとタマがくっついても、子供を作ることができない。だから別』


♂「そうそう」


♀『私と裕也くんなら、くっつくと子供ができる。だから同じ』


♂「へ…変な事言うなよ…」

裕也くんが赤くなった。


♀『あ…ごめん……』

私も気付いて一緒に下を向いてしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

犬と猫 倉田京 @kuratakyou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ