第3話

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この土地には季節の変わり目が存在しない。

あるのは、永遠凍土に続く、豪雪、豪風の大国【死霊同盟国】である。

この国は、名前の通り死霊が数多く存在する、心霊国でもある。

大陸の面積は、八百万平方キロメートルで、昔、存在していた、オーストラリア大陸より少し大きめの面積である。

それほどの大きさであるにも関わらず、人口は一万にも満たないのだ。

最初に述べた、永久に続く豪雪、豪風により、この土地から生きる者命を奪われていたからだ。

同盟国とは、大陸中に存在する国家が同盟を結び、何とか生き延びようとした名残である。

今では、国は、一つしか存在していない。



「っふっふ、はははは!」

体長二メートルを超える大柄な男は、豪雪の中を黒の革ズボンと黒いタンクトップ姿で歩いていた。

常人では、防寒具を身につけなければ、凍死してしまう氷点下でも、男にとっては、日常でしかない。

男は、身体の左半分を凍傷に浅黒く熟れていた。

左腕は、黒く硬化していた。

パキッ

音がして、腕を見ると肘から下が消えていた。さっきのは、腕が取れた音だったらしい。

だが、男は気にしてないように前を見て呟いた。

「やっと、やっと、あの忌々しい氷から、解かれた」


男は、今から半刻程前まで、氷の棺によって、封印されていた。

それは、男の持つ剣が問題だったからである。

男の武器は、百八十センチもある巨大な剣、ツーハンデットソードである。しかも、ただのツーハンデットソードではない。魔剣なのである。

魔剣【ティルヴィング】。持ち主の願いを三つ叶えるが、それと引き換えに命を吸う剣でも

男は、既に三つの願いを叶え、氷の棺によって延々の生き地獄という死を迎える筈だった。

事実つ、彼は三十年の間、氷の棺の中で凍傷にあい、硬化していき、腕や足が破壊されていた。

先ほどの腕が折れたのは、それが原因であった。

しかし、男はもう一つ、剣を持っていた。

金色の短剣【ライフジュエル】という、意匠が施された短剣であった。

【ライフジュエル】の能力は、死からの永遠の逃避である。

呪いや斬撃、銃撃などを受けても、戦いの前に使っておけば

男は三十年前、同盟国の繁栄を願い、【ティルヴィング】で願いを二つ叶えた。

一つ目は、人が暮らせ場所。これは、国の中心点に【ティルヴィング】を突き刺すと直径一万平方キロメートルの円ができ、その円の中では、春のように暖かい空間が出来上がり、人が暮らすのに充分な場所ができた。

二つ目は、生きる為に必要な食料である。肉類は、野生の白熊やアザラシなどをさばけば食べられる。

だが、それ以外の野菜や果実などが、この国は存在しなかったのだ。

なので男は、再び大地に【ティルヴィング】を突き刺した。するといたる所から果実の木が生えてきた。

男は、これを見て満足した。

しかし、男は、それで満足が出来ず、この国の王になろうとした。

能力を使わなければ、【ティルヴィング】で人を殺しても問題ないと男は知っていたので、迷わず王をその手で殺めた。

しかし、王は蘇ったのだ。

王はその時、【ライフジュエル】を持っていた為生き長らえたのだが、男が思わず使ってしまった【ティルヴィング】の能力によって死んでしまった。

男は、氷の棺に閉じ込められる最後に、王から【ライフジュエル】を奪い、譜を詠み上げたのだ。

それにより、男は、今蘇ったのである、、、。


男が久しぶりに動く身体を、楽しそうに眺めながら身体を動かしていると、何処からか、全身黒いローブ包まれた、男か女かわからない怪しい人物が目の前に現れた。

「これはこれは、三十年間の眠りからの目覚め、大変嬉しくおもいます!」

声もどちらとも言えるようなものだったが、男は昔、同じような人物にあった覚えある。

「私が差し上げになった【ティルヴィング】は、絶好調のようですね?彼の王より得た【ライフジュエル】もあり、貴方様もお強くなられた!」

そうだ、俺様に【ティルヴィング】を寄越したやつだ。

「お前は、誰だ、何者、なのだ?」

黒い、怪しい人物は、そうですかっと呟いた。

「貴方様は、記憶が混乱しているのですね?ですが、約束は約束ですので、貴方様には、あるを奪ってきて貰いたいのでよ」

コイツは、何を言っているのだ。

「その刀はであり、今、にあります。名を【】と言います」

男は、魔剣の力を理解しているので、これがもう一振り手に入ると思うと、胸が高鳴った。帝国と言えば、我が同盟国の下側にある国だ。

そこに行けば、俺様は、もっと強くなれる。

男は、氷の棺に閉じ込められた間、ドス黒い感情に飲み込まれていた。

力を欲し、万物を従える力を。

そうだ、俺様のナマエは、なんだ?

「貴方様には、新しい御名前が必要ですね!!貴方様、これより『ゾーク』と名乗られるとよろしいかと」

ゾーク、、、中々いい響きではないか。

「ぅうおぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!!」

男は天に向かって、吠えました。

『ゾーク』とは黒装束のの総称である。としての、、、



場所は帝国に変わります。

春が過ぎ去った初夏の頃、今日も今日とて、学園生は、剣と勉強に励んでいました。

今は、座学の時間でした。

構えなどの基礎から、発展した応用の仕方を学んでいる所です。

残念なことに、姫花ひめかは、爆睡しています。

教室には、十人にも満たない生徒しかいないので、直ぐバレることなのですが、放置されています。

くれない 姫花。基本、自由な性格です。飽きっぽい所があり、剣以外では、大抵一日で辞めてしまいます。

流派は、紅虎俊速流という帝国で最強と言われる帝国七剣の流派の一つである。

秋乃あきのは、一心不乱に何かをずっとノートに書いてます。あんな速さで、翡翠ひすい先生は、黒板に書いていないと思うのですが?

相良さがら 秋乃。才色兼備、文武両道、容姿端麗と非の付けようが無い完璧な美少女である。

玄霧流という、姫花と同じく、帝国七剣の一つである。

僕はと言えば、勿論新しい型を考えている最中です。

翡翠先生には、悪いですが、この話は祖父から耳がタコになるくらいに聞かされていたので、覚える必要が無いのです。

「ツルギ、お前まで私の講義を聞いてくれないのなら、お前を当家に婿入りすることにするがいいのか?」

翡翠先生は、抑揚の無い話し方でトンチンカンなことを言い始めた。

「あの、先生?今、婿入り?って聞こえたような気がしたのですが、気のせいですよね?」

翡翠先生は、残念そうな顔をした。

「何だ、聴こえていたのか。既成事実にしてしまえば、相良や紅から、何も言われずツルギを私のものにしていたのに。すごく残念だ」

「否定では、なく肯定しきますたか!貴方は、それでも先生なんですか!?」

「先生と生徒前に、私とツルギは、女と男だ。何もおかしなことでは無い」

平然と言ってのける先生を見て、呆れを通り越しましたよ!

「そんなのダメに決まってるじゃ無いですか!!ツルギちゃんは、私の旦那様になるんですから!そして、一日中、私の腕の中で抱っこし続けるのです!」

秋乃さん?僕そんな話し、しましたっけ?

「何を言ってるんだよ二人してさ。ツルギくんは、ぼ、ボクと一緒に剣の道を極めるだよ?」

なんか、少しニュアンスが違うような気がするのですが!?

そんな感じに、いつもの日常が過ぎようとしていたが、

異変に最初に、気づいたのは、翡翠先生だった。

翡翠 あや。秋乃達と同じで、帝国七剣の一つ、蛇促絶苑流の持ち主である。

この流派、他のと違い、隠密を得意とした者達が使うものである。

なので、異変に気づくの早かったのだ。

「皆んな静まれ。頭を伏せ机の中に入るのだ。私が来るまで、絶対に動くなよ」

そう言って、翡翠先生は、音も無く消え去った。否、学園の中央に飛んで行ったのだ。



「貴様、何者だ?」

私は油断無く、目の前に立つ男を見上げだ。

私の身長で、百七十といった所だから、およそ二メートルくらいだろう。

左半分が黒く硬化し、熟れている所もある。永久凍土の国、同盟国の者だろう。それにしても、奴が背に差しているあの剣は、なんだ?

私の身長とそんなに変わらないではないか。

「【ダーインスレイヴ】は、どこだ?」

地の底から、唸るような声で呟いてきた。

【ダーインスレイヴ】とは、ツルギの本差の魔剣である。

それを欲して来たと言うのか?

存在すること自体が、国家機密であるのに、何故よそ者のコイツが知っているのだ。

翡翠は、整った眉を少し眉間に寄せ、相手を見据えた。

その時、風を切るより早く、斬撃が飛んできた。

っヴオオォォン!バキバキ!

大地が抉れ、私の後ろにあった木が真っ二つに切られた。

男を見れば、いつ間にかに剣を抜き下ろしていた。

速さに自信のある私ですら見えなかったと言うのか?

私は、腰に差していた短刀を抜き放った。

「【我の声に応じ、我に従え。蛇の道は邪であるのなら、我はにその力を】」

短刀から、黒い霧と翠色の電気が生じた。

邪促刀じゃそくとう】という、翡翠のの刀である。固有能力は、熱感知と暗闇での視覚補強、思考加速である。

翡翠は、油断無く構え相手の出方を伺ったが、気配が感じ取れない。

何故だと思っていたら、別の者が私を襲って来た。

「さっきの大男の、連れですか?」

「答える義理はないでしょう?」

全身を黒装束で、覆われていて、声からも性別がわからない。

一体なにが起きているのですか?

黒装束と翡翠の戦いは、これにより始まった。



「やっぱ、翡翠先生が心配ですね」

「何を言ってるのよ?仮にも、最強の隠密忍者と謳われる翡翠 絢ですよ。負ける筈がないでしょ?」

「いや、でーーー」

ガッシャーーン!

でもっと言おうとした僕の言葉を遮るように大男が窓から入ってきた。

「嘘でしょ?ここ二階なのよ?どうして?」「キャー!」と周りの生徒達が慌ただしく廊下に逃げ出した。

場に残ったのは、僕と秋乃、姫花の三人だった。

「二人とも最初から全力で行くよ!」

「わかってる!」「ツルギちゃんは、逃げて良かったのに」

っと言って二人とも刀を抜き、それぞれに譜を詠み始めた。

「【我が鎧、我に力を示せ。を破る力を】」

全員が力を解放した刀を構え、目の前の大男を見据えた。

「【ダーインスレイヴ】を寄越せ!それは、このゾーク様に相応しい、魔剣、だ」

「「「!?」」」

僕達は、固まった。な、何故それを知っているのです!?

「寄越せぇぇぇぇぇええええええ!」

空間をつんざくような怒声を発っし大男ーーゾークは、剣を振り下ろした!

ヴゥォォォォォォオン!ガッシャーーン!

ゾークの一薙で辺り一面が悲惨な状況になっていた。

辺りには、僕一人しかいなくなっていた。

あの二人が、今の一撃で倒れような柔な人間ではないことは、僕が一番知っています。

なので、絶対に大丈夫でしょう。

なら、僕も

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