第5話 夏が来れば

「ちょっと待て」

「何?お兄ちゃん」

「君の学校は、身内でも男子禁制だろ?」

「うん、そうだよ。校内はね」

「校内は?」

「うん、だから普段は、お母さんが代理している。」

わけわからん。


「で、どうやって、切り出すんだ」

「何を?」

「だから、俺が引率する理由だよ」

「簡単だよ」

「その心は?」

「学校外は男子OKだから」

「つまり?」

「男女交際は禁止されていないの」

禁止しても、目が届かないので意味ないか・・・


「で、何人で行くんだ?」

「2人」

「ふたり?」

「うん、私とお兄ちゃん」

「まずい、それはまずい」

「平気だよ」

「どうして?」

「兄妹にしてもらうから」

「無理があるんじゃ」

「なら、いとこ」

もう、好きにしてくれ・・・


「で、どこへ行きたい?」

「飯田線」

「飯田線?」

「うん」

「あそこは夏がいいんじゃないかな」

「うん、待ってる」

旅費は当然、俺もちだな・・・

無駄遣いはできない。



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