第4話 類は友を呼ぶ

「のどが・・・枯れた・・・」

さすがに、66番全部唄うのは辛い。

東海道編だけでよかったよ・・・


「お兄ちゃん、大丈夫?山陽線とかもあるけど、唄う?」

「殺す気が・・・」

「冗談よ」

驚かせないでくれ・・・

心臓に悪い。


「でも、俺が鉄道唱歌を持ってくるって、よくわかったな」

「そりゃ、予想できるよ。だって・・・」

「だって?」

「スマホケース、携帯充電器、全て電車だもん、かなりの鉄だね」

「その通りだよ」

趣味はどうどう公開しよう。

内緒にしても、後で後悔する。

しゃれではないので、念のため。


「実は、私も鉄道好きなんだよ」

「そうなの?」

最近は、女の子の鉄道ファンも多いからな。

鉄子というらしいが・・・


「学校では、鉄道研究会に入っているんだよ」

「音楽部じゃないのか?」

「うん。ここだけの話、合奏は苦手なんだ」

「しかし、お嬢様チックな女子高によく出来たな」

「うん、私が作ったもん」

「何を?」

「だから、鉄道研究会」

行動が早い。


「で、部員は何人」

「のべ2人」

「のべ?」

「会長がわたし、会員がわたしの、のべ2名」

つっこむのは、やめよう。


「で、お兄ちゃん、今日のお返しお願いしていい」

「なんだ?」

いいもの聴かせてもらったんだ。

少しならいいだろう。


「今度、鉄道旅行するんだけど、引率してくれない?」

「でも、ご両親が許さないだろ?」

「平気だよ」

「その心は?」

「お父さんが、私の学校の理事長だもん」


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