第11話 巨大スライムとの戦い。

            あらすじ


 大土竜の墓場に到着した俺とレシュトリアだが、母親は穴の下言いだし、俺を落ちたら確実に死んでしまう穴へ引っ張り出す。

 その凄い力に逆らえず、俺達は穴の下へと落下して行く。

 如何にか助かろうと腕を壁に伸ばすのだが、速度と重さにより、それは無駄に終わってしまう。

 更に体勢を崩してしまった俺は、頭から地面に落ち、急激に迫って来る地面に、死を覚悟した。

 その時地面からニュっと湧き出したスライムに突っ込み、俺達の命は助かったのだった。

 そのスライムこそ母親だと知らされた俺は、意外と中は気持ち良かったし、そんな事もあるのかもと思い、まあ納得出来たのだが、レシュトリアの一言で状況が変わってしまう。

 なんと俺には千人近くの子供がいると聞かされたのだ。

 一瞬レシュトリアが千人も居るのかとも思ったが、そんな事は全くなかった。

 突如地面からチ〇コ型の物体が千本近くも生えだしたのだ。

 俺はもう駄目だと思い、それを攻撃し始めるのだが、怒ったレシュトリアが母親と兄妹達と融合して、巨大なチ〇コスライムへと変わってしまったのだった。

 そしてそのチ〇コスライムとの戦いが続いている…………


バール   (王国の兵士) レシュトリア(バールの娘と名乗る少女)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




 スライムの体外に出れたのはいいが、決定的な攻撃が出来ないという現実は変わらない。

 俺の渾身の力で放った、必殺の槍の一撃が全く無意味に終わってしまったのだ、だったらどうすれば良いのか?


 槍の刃による斬撃…………それもあまり効果がない気がする。

 打撃…………はあまり得意ではないが、フレーレぐらいの実力がなければ無駄に終わりそうだ。

 脱出する際に体内をを確認してはいたが、見た限り核のような物は見当たらなかった。

 何処かに有るのかもしれないけど、色が同じとかだと探しようがない。


 決定的な攻撃は出来そうもないが、手がない訳じゃない。

 この槍の刃でスライムの表面を削って行けば、いづれ小さくなって倒す事も出来るだろう。

 それまで俺が生きて居たらだが?!


「ぬおおおおおおおおおおお!」


 チ〇コスライムから放たれた黄色い閃光は、縦に真っ直ぐ伸びて、奥に有る壁を二つに割っている。

 真面に食らえば、俺の体は真っ二つで、この攻撃にも注意が必要だ。

 これは細くなっているから弱いという訳でもない。

 レシュトリアの時より凝縮されている感じだな。


 今のは縦で躱しやすかったが、横に薙ぎ払われたらああああああああああ、早速来たああああああああああ!

 必至に地面に張り付き、それをやり過ごすのだが、それを狙っていたかのように白色の酸が発射される。 

 寝っ転がりながら横に回転して攻撃を避け続け、隙を見てもう一度立ち上がった。

 そのまま槍を振り相手の体表を削ると、分断された部分が地面に落ちる。


 落ちた部分を吸収しようとはしないみたいで、やはり削り尽くせば勝つことが出来そうだった。

 しかしこの大きさを削り尽くすのに、どの位の時間がかかるのだろうか?

 フレデリッサが居てくれれば凍らせる事も出来たかもしれないのに、流石にこの深い穴の中までは追っては来てくれないだろう。

 もう自分の手でやるしかない!


「やってやる、やってやるぞおおおおお! こんな所で死にたくないからな! うらああああああああ!」


 数字にしてみるとしたら、相手の体力は一万という所だろうか?

 それを壱ダメージしか当たらない攻撃で倒せというのだから、そうとう辛いぞ!


 休まず攻撃を続ける俺だが、百回、二百回とやり続ける内に、このままでは勝ち目がないと理解してしまった。

 俺はアツシの様な体力の化け物ではない。

 敵の攻撃を躱しながら一万回も攻撃を与えるのは不可能だと気づいたのだ。


 これは駄目だ。

 もう少し工夫するべきだな。


「シギャアアアアアアアアアアアアアア!」


 威嚇するように鳴き声を上げるチ〇コスライムに、俺は再び攻撃を開始しする。

 敵の体へ槍の刃を少し突き入れ、体内で角度を変えて斬り返した。

 バシャッと多くの液体が飛び散り、今までより多くのダメージを与えた気がする。

 例えるなら壱が五にでもなったぐらいか。


 もう少しダメージを与えたい所だが、これ以上深く突き入れたら斬った所がまたくっ付いてしまいそうだ。


「どうだ、これなら五倍速いぞ! あと残り千九百六十回ぐらいだ!」


 一万からはかなり減ったが、気が遠くなりそうな回数には違いない。

 うんざりしながらも俺は攻撃を続けまくった。


 百回、二百回、三百回、四百回。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…………まだまだぁ!」


 五百回、六百回、七百回、八百回。


「ぬふう、ぬふう、ぬふう、ぬふう…………んあああああああ!」


 九百回、千回!


「ふひぃ、ふひぃ、ふひぃ…………」


 相手の攻撃パターンは少なく、動きも大きくて避けやすいのだが、ここまで敵の攻撃を受けなかったのは奇跡といっても良い。

 それに相手の体も随分縮まっているが、思ったほどは減っていない気がする。

 あと千回やっても足りないかもしれない。

 最後まで俺の体力もつのかこれ?


 無理すればあと三百回位ならいけるだろうか?

 何時も走り回ってるから脚だけは元気だが、上半身はもう不味いぞ。

 たぶんその辺りで俺の体力が尽きてしまうだろう。


「ふぬぬぬぬぬぬぬぬ!」


 千百回、千二百回、千三百回!


「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ…………」


 あと百回、あと百回だけだから!

 そう思いながら千五百回まで続けた俺だが、もう腕が振り上げられる状態じゃなくなってしまっている。

 俺はかなり衰弱しているのに、チ〇コスライムはもう攻撃をしてこなくなっている。

 それが何故か分からないが、代わりに足を使って、斬りつけた。


「む、無理ぃ……ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ…………」


 そして俺は力尽きてそのまま倒れ込んでしまうのだが、チ〇コスライムは動きを見せない。

 今俺はそんな事など気にも留められず、止めを刺すなら刺して見ろって状態である。

 それから十分じゅっぷんか、もっとだろうか、寝っ転がり続ける俺はまだ生きていた。


 もしかしたら手加減でもされていたのかもしれない。

 充分に休息を取った俺は、起き上がって敵を見た。

 今はもうチ〇コ状ではなくなって、半円形になりプルっとした物が残されている。


「ふう、ふう……もしかして死んでいるのか?」


 確認の為に手を伸ばし、スライムに手を当てると、それは冷たくもなく人の温もりを感じらる。

 そのまま触っていると、スライム状の物体がパシャンと弾け、中からレシュトリアが横たわって現れた。


 人の形態をとったレシュトリアは、呼吸もあり、脈も感じられる。

 無事に生きてはいるらしい。


 目を覚ましたら仲間の仇を討とうと、怒りで襲って来るかもしれない。

 俺は槍を構え、倒れて居るレシュトリアに突き付けた。


「…………はぁ……これじゃあ止めを刺せないな」


 俺は、まだ目覚めないレシュトリアをこのままにして、この穴からの脱出方法を考えた。

 上にはフレデリッサが居ると思う、まず大声で叫んでみるか?


「お~い! フレデリッサ、居るんだろ?! もう解決したから助けてくれないか?!」


 フレデリッサは顔を見せない。

 あれ、追って来ていると思っていたけど。

 …………あれ、もしかして居なかったとか?

 それとももう帰ってしまったとか?! 

 じゃ、じゃあ俺を見張っている者が居るはずだ!


「誰かああああああああ! もう解決したんですよおおおおおおおおおお、助けてくれませんかあああああああああ!」


 誰の返事も返って来ない…………

 俺はまさか、この穴の中で一生を終えるのだろうか?!

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