第6話 不思議な少女。
あらすじ
一ヶ月も眠り続けたバールは、ついにその目を覚ました。とても綺麗に整理された牢の中で、ベットから起きた俺だが、立ち上がっただけでもフラフラしていた。
何故こんな事になったのかと思い出そうとするが、薬を飲んだ時までしか思い出せず、何もする事がないのでとりあえずズボンを下ろした。
ちょっとばかり恋人のフレデリッサの姿でも想像して、もうそろそろ良いかなーと思って来た時、突然近くの窓ガラスが割れて、その窓から少女が入って来ていた。
その少女は俺の元へやって来ると、俺の事をパパと呼んでしまう。思い当たる節が数多くある俺は、色々と考えてみるのだが、結局分からなかった。
レシュトリアと名乗った少女が、まずこの牢から出ようと言い、敵に掴まっている可能性も考慮して、それに乗ったが、その少女は鍵を探すまでもなく、力任せに牢を広げた。王国ならそんな子も居るだろうと思った俺だが、窓から脱出すると、辺りの景色に驚愕する事に。
地面には、大量の兵士や研究者が倒れていたのだ。
ここがたぶん王国のキメラ研究所だと気づいた俺は、もう一度窓から戻ろうとしたのだが、レシュトリアに俺の相棒を力強く握られ、俺は悶絶を続けた…………
バール (王国の兵士) レシュトリア(バールの娘と名乗る少女)
フレデリッサ(バールの恋人)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ぬおおおおおおおおおおおおおおお!」
「パパ、早く行かないとまた誰か来るから!」
レシュトリアにグイグイと股間を引っ張られた俺は、痛みの為に、もうそろそろ牢に戻るのを諦めようと思いだす頃、俺達の元に一人の女性が現れた。
「あら、まさか貴方に娘が居るとは思いませんでしたわね。私とあんな事をしていた時にも、その子の母親の事でも考えていらしたのかしら?」
その声には聞き覚えがあった。
俺は股間を握られたまま首を少し動かし確認すると、その女性、フレデリッサが立って居た。
「ふ、フレデリッサああああああああああ! ち、違うんだフレデリッサ! 俺もこの子の事は今さっき知ったばかりだし、俺の子なのかもまだ確認出来てないし、まずは話し合おうじゃないか!」
微妙に怒っていらっしゃるフレデリッサは、大勢の人達が倒れる周りの状況を確認して、もう一度俺を見た。
「はぁ、どうやらまだ暴走していらっしゃるのね。もう一度ベットに縛り付けて上げますから、大人しくしていらっしゃいな」
近づいて来るフレデリッサだが、それをレシュトリアが黙ってはいなかった。
「パパ、そのおばさんは一体誰なの? パパの知り合い?」
「…………あらあら、随分失礼なクソガキですわね。少しばかりお仕置きでもしてあげようかしら?」
確かにフレデリッサの年齢は、おばさん所か、お婆ちゃんと言っても良い年齢である。
いや、お婆ちゃんでもまだ足りず、もうご先祖様と呼べる年齢だ。
何百年も短剣に閉じ込められていたから、見た目の年齢は変わって無いのだが、その彼女も、ちょっとばかり怒りっぽい所と、古臭い所とか、攻撃的な所とか、自己中心的な所とか、他にも色々短所はあるが、顔と体だけはとても綺麗だ。
見た目の年齢は十八、十九ぐらいに留まっている。
だからおばさんとか呼ぶと怒りだすのだ。
…………そうじゃなくてもきっと怒り出したと思うけど。
「ふ、フレデリッサ、それは止めた方が良い。この子は普通じゃないんだ、君でもたぶん勝てない。もう一度言うけど、落ち着いて話し合おう」
「あらぁ、それは聞き捨てなりませんねぇ。…………この私がこんなクソガキに勝てないとでも? だったら試してあげますわ!」
「私の邪魔をするのなら、例えパパの知り合いだったとしても手加減しないわよ!」
子供相手に向きになってと言いたい所だが、この化け物じみた力を持ったレシュトリアの相手では、フレデリッサの方を心配をしてしまう。
「さあ、お仕置きです!」
「おばさんが私に勝てるとおもわないでね!」
流石に剣は抜かないけど、思いっきり拳を握って走り出したフレデリッサと、それを待ち受けるレシュトリア。
止めないと、と、窓から降りた俺は、今にも跳びかかりそうな二人の前に立ちはだかった。
「二人共やめ…………」
ドバーン!
その瞬間、レシュトリアの口から金に輝く光線が発射され、俺の頭の横を通り過ぎた。
光線を目で追うと、その先にあった建物を爆散して、尚も突き進んで空に消えて行く。
正直恐ろしい威力だ。
盾で防御していても、それを貫いて体まで穴が開きそうなレベルである。
フレデリッサは…………予想外に凄い攻撃が来たから驚いているけど、怪我はないみたいで大丈夫みたいだ。
レシュトリアは俺が跳び出したから、攻撃を外してくれたのかもしれない。
「ななななななな何ですの貴女! そそそそそそのぐらいの攻撃で、私が降参するとでも思っているんですか!」
この少女の力が分かったフレデリッサは、ちょっと腰が引けているけど、まだやる気らしい。
抜いていなかった剣を抜いて、ブンブンさせている。
「ちょ、ちょっと落ち着こうねレシュトリア。うん、先ずは落ち着こう。二人共仲直りをして握手でもしようじゃないか」
「パパ、まさかその女を庇うというの? やっぱりパパはその女のことを…………穏便に済まそうと思ってたんだけど、パパを連れて帰る為には、その女と邪魔な上半身と足を斬り離して連れて帰るしかないのね。待っててパパ、直ぐに邪魔な体から斬り離してあげる!」
邪魔な上半身と下半身を斬り落とすって?!
ま、まさか、レシュトリアの目的は、この俺のチ〇コだというのか?!
今までチ〇コを見つめていたり、チ〇コを握っていたりしてたのはその為か?!
何でそんな事を、一体何故?!
しかしそんなモノを簡単に渡せる訳がない。
チ〇コを斬り離されるなんてごめんだし、これは俺の大事な相棒なのだ!
例えレシュトリアのの頼みであっても、絶対に渡せない!
「逃げるぞフレデリッサ! このまま、この子に付き合っていたら、俺の大事なチ〇コが危うい! フレデリッサもそれは困るだろう?!」
「し、仕方がありませんわね…………」
俺達が逃げ出すと、レシュトリアもそれを追い掛け、後から迫って来ている。
その口からは、先ほどの黄色の光線と、白色の砲弾を撃ち続けていた。
「逃げるなあああああああああああ!」
「いや、そりゃ逃げるでしょう!」
「何なのですか、あのクソガキは。もしかして何かの破壊神か何かなのですか?! なんであれ、あれは貴方の子供なのでしょう? 早く何とかしなさい!」
「それが出来れば、もうやってるんだけどね!」
子供の脚なので追い着かれはしないのだが、外れた攻撃はキメラ研究所を壊し続け、もう建物は大惨事である。
そんな騒ぎを聞きつけ大量の兵士が駆けつけて来ているのだが、相手が小さな少女だからと攻撃を躊躇っている様だ。
だから調子に乗ってレシュトリアが攻撃を続けていたのだが、何時までもそれをさせておく程、王国の兵は甘くはない。
突如現れた黒いべノム隊長が、レシュトリアの後頭部にガンっと拳を殴りつけると、レシュトリアは気絶して地面に倒れた。
まあそれでも殺す様な事はしていないから、かなり優しい対応である。
「さてバール、お前には色々と山の様に聞きたい事が徹底的にあるが、とりあえずこの子供は何処の子供だ?」
「さ、さあ何処の子供でしょうかねぇ…………」
「こいつの子供ですわ」
庇ってやったのに、フレデリッサが俺を指さしていた。
…………やっぱり怒っているらしい。
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