第5話 大きくなってから存在を知らされると、もう驚くしかない。

               あらすじ


 大土竜の墓場までバールを誘導したべノム、その穴の中に巨大なブツが落ちてしまい、ガンガンと暴れ出した。

 バールがああなってしまった原因を探る為に、色々聞き込みをすると、一人の占い師をみつけだした。

 その占い師レネンの話を聞くのだが、適当に合成したものだから如何にもならないと言う。

 卑猥光景を見せない為に、案内役としてアツシという兵士が選ばれ、一週間もの時間が流れた。

 その日バールは薬の効果が切れたのか、元の姿に戻ったのだった…………


バール(王国の兵士) レシュトリア(バールの娘と名乗る少女)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 バールが倒れて一月が経った頃、薄暗い牢の中の、真っ白いベットの上で眠っていたバールが目覚めた。


「うっ……ここは一体……? 何で俺牢の中に入れられているんだろう?」


 この牢の中には、清潔なベットと、ある程度ギッシリ本が詰まった本棚、綺麗なトイレも付いている。

 床にはホコリも落ちていないし、スリッパまであったりする。

 この牢は、どうも犯罪者が入る牢ではないらしい。


 体は………動く。

 なんか凄くだるいけど、腕も足もちゃんと動く。

 ぐっと力を入れて状態を起き上がらせ、俺はベットから起き上がった。


「おっと…………」


 思った以上に力が入らず、立ち眩みがして脚がフラ付いた。

 それでも何とか立ち上がり、牢の外を見る。

 白い廊下に、その奥には窓も見える。

 この場所からだと少ししか見えないのだが、日の光がさしているし、たぶん日中なのだろう。


「誰か居ませんか?!」


 …………声を張り上げても返事が無い。

 手や足を伸ばした所で、特に何も無さそうだ。

 一度何故こうなったのかと考えてみようか。


「思い出せるのは、確か……そうだ、俺は占い師のお婆さんから薬を買って、それを飲んで…………駄目だ、良く分からないけど、何か力があふれた気がしたんだが、それからの事が思い出せない。何かとても気持ち良い事があったきがするんだが?」


 何時までもこんな場所には居たくないが、今は抜け出せる方法が見つからない。

 もう少し寝てるとしようか?

 いや、何故か一切いぅさい眠くない。

 ちょっとだけ頭痛があるけど、頭だけは冴えわたっている。

 まるで何十日も眠っていた様だ。


 本棚にも特に読みたい物は見つからないし、ボーっとするしかすることがなかった。

 …………誰も居ないし、紙の本もある。

 後足りない物は、想像で補うとしよう。

 フレデリッサの裸でも想像して。


 俺はズボンを下ろし、ちょっとばかり用事を済まそうと頑張ろうとした時、近くにあった窓がパリンと割れた。


「何だ?!」


 何があったのかと、その窓を見たのだが、七歳ぐらいの小さな子供が、割れた窓から入って来ていた。

 その少女は俺の牢の前までやって来ると、俺の股間をじっと見つめていた。


 …………ハっと思い出し、自分の下半身を見つめると、あらわになった自分の相棒が、ギンギンに反り返っていた。

 流石に子供に見せるのは不味いと、下ろしていた下着を戻したのだが、その少女は俺の下半身を見ながらこう言った。


「初めまして、私は貴方の娘レシュトリアです。ずっと会いたかったわパパ!」


「ぱ、パパ?」


「ええ、これからよろしくねパパ」


 俺の事をパパと呼んだ少女は、輝くような翡翠色ヒスイいろの髪をした少女だ。

 しかしその少女の年齢から考えると、俺がイケメンの少年の頃だが、女性とそんな事になった覚えは………ほんの少ししかないが、その子達にも今も会ったりするし、俺の子供が居るとは聞いた事がない。


 いや、ちょっと待ってくれ。

 そういえば帝国に行ったあの子はどうしただろう?

 旅行で王国まで来ていたあの子は?

 駄目だ、身に覚えが有り過ぎてハッキリしないぞ。


 待て、このまま諦めてしまっては、身に覚えが無いままパパにされてしまう。

 まだ諦める時間じゃない、この子の髪の色や瞳の色、顔立ちから母親を想像してみよう!


 髪の色から考えるに、母親はレイファかリリアス、それとウィール。

 瞳まで同じとなると、もしかしたらレイファの子供かもしれない!


「ま、まさか、レイファの子供なのか!」


「何を言ってるのパパ? 私はパパの子供だけど、そんな人知らないわ。話は色々あるだろうけど、まずはこの牢から脱出しましょう」


 俺を出してくれると言うのか。

 勝手に出たら怒られそうだが、もし俺が敵の手の中にいるのであるなら脱出するべきだろう。

 この場から脱出するチャンスが二度と回って来ないとも限らない。

 悩んだ俺は、この少女の言葉に従う事にした。


「分かった、じゃあ鍵を探して来てくれないかな。でも誰かに見つからない様に気を付けてくれよ。酷い目にうかもしれないから」


「大丈夫よパパ、そんな物なくても如何にでもなるから。ちょっとどいてね」


 レシュトリアが、何をするのかと観察していると、牢の格子を手で持ち、軽くグニャリと広げてしまった。

 まさかキメラ化しているのか?

 危険を回避する為に、それを進めた親も居たことは居たのだ。

 この子がそうなのかもしれない。


 俺は牢から脱出すると、割れた窓から外に出て、周りを確認した。

 ここはみた事がある場所で、たぶんキメラ研究所だろうか。

 …………周りには白衣を着た研究員や、武装した兵士達が、無数に倒れて居る。

 状況的にこのレシュトリアという子がやったとしか思えない。


 つまり俺は、牢の中から脱獄してしまい、大勢の人を傷つけた脱獄犯になってしまったのだ。


「さあ急ぎましょうパパ! また変な連中が私達を捕まえに来てしまうわ!」


 この子と一緒に脱出するのは容易いが、手配されて追われるのは本意じゃない。


「…………レシュトリア、これはちょっと駄目だ。俺は牢に戻るから、君は逃げてくれ。後は俺が何とかしておくから」


「大丈夫よ、別に殺していないから。あっ、また誰か来るわ。急いでパパ!」


「やっぱり俺は行けないよ。早く逃げてくれレシュトリア。じゃあ俺は会の牢に戻っているから、今度は普通に面会に来てくれよ。じゃあまたね」


 俺はレ種とレシュトリアの返事も聞かず、脱出した窓から戻ろうとしたのだが、しかし上半身を窓に入れた辺りで、俺は動けなくなってしまった。

 その原因とは、俺の股間をレシュトリア握られて、本当に不味い状況になってしまっている。


「い、痛いから、手を放してれないかな…………」


「待ってパパ、私を捨てるなんて許さないから! 引き千切ってでも連れて行くわよ!」


 玉が握られていないのは幸いだったのだが、あまりに強い力の為に、破裂してしまいそうなのだ。


「ぐ、中々外れないわね。なんかちょっとずつ伸びてる気がするし、パパ、そんなにも私と行きたくないっていうの?!」


「あああああああ、やめてえええええええええええええええ!」


 圧倒的な力で引っ張られる俺は、相手が子供だから引っぱたく訳にも行かず、悶絶する時間を永遠と味わうこととなった。

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