一年目




 転生してから既に一年が経った。最近になって、ようやく睡眠の時間が減少してきたのだ。

 流石に、以前までの状態では何かを考えるのは無理だった。


 また、この世界についても少しだけ分かった。この世界は、二つの大陸が海を挟んで存在し、それぞれに幾つかの国がある。

 俺の住む国はカース大陸のレビテント王国。


 その南西部に位置する村に住んでいるようだ。両親はミエイラ(母)とアダン(父)、祖父母はおらず、妹が一人いる。

 俺の名前はリュウというらしい。


 この村は、隣村に比べると豊かな村らしく、幸せな生活を過ごしている。ついでに、一番衝撃だったことは魔法だ。

 この世界での魔法は、かなり貴重なものだというのが分かった。


 ”人は生まれつき魔力の適正を持っている”


 この適正がある人間には、”固有の魔力”が備わっている。だが、無い場合の人には魔力を感じることすら出来ないらしい。母は”氷抵抗”という魔力を持っていたが、父は無いらしい。

 この村全体を見ても母しか魔力が無いようだ。


 俺?知らんな。


 この世界では、七歳を迎えた年に教会で魔法の選定を受けるらしい。つまり、それまでは魔力があるのかすら分からないのだ。

 まあ、七歳になるまでに自覚があるのかは不明だが。


 とりあえず、今はどうしようも無いとは思っている。


――そんな俺に、転機が訪れていた。


「そういえば、最近ステータス見ていなかったわよね?」

「そうだね。でも、どうせ変化無いんじゃないか?」


(何?ステータスがあるのか?なら、俺にも・・・・・・・・・)


 二人は、話し合った結果見ることにしたらしく、俺の前に来た。どうやら、俺に見せてくれるようだ。


(ラッキー)


 なんて事を内心で思いつつ、俺は二人へと視線を向ける。


「ほらリュウ君。これがステータスだよ?」

「こっちはパパのだな」



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 ≪名前≫ ミエイラ・シルバー


 ≪LV≫ 39


 ≪魔力≫ 氷抵抗


 ≪スキル≫ 魔法技能 弓術 遠目


 ≪称号≫ 氷の狙撃手


 ______________________________


 ≪名前≫ アダン・シルバー


 ≪LV≫ 40


 ≪魔力≫ 炎電(不可)


 ≪スキル≫ 剣術 身体強化


 ≪称号≫ 剣豪


 ______________________________



 かなりコンパクトなステータスだった。それと、魔力というのは全員が持っているのかな?

 どうやら父には魔力はあるけれど、発動するためのスキルが無いようだった。


 目前に表示されたパネルを見て、俺はそう思う。なにせ、知識が無い。俺個人の頭では、そのくらいしか考えつかなかった。

 けれど、それ以外にも考えられたことがある。二人は今、呟くだけでステータスなるものを出していた。


 ならば、俺にも表示出来るんじゃないか?



  ◆◇◆◇◆◇◆



 というわけで、早速試してみることにした。まずは、ステータスと唱えるところから。


(ステータス)


 _______________________________


 ≪名前≫ リュウ・シルバー(佐藤 亮太)


 ≪LV≫ 1


 ≪魔力≫ 複製 神力


 ≪スキル≫ 魔法技能 成長促進 暗算


 ≪称号≫ 神の代行者 女神の心 


 _______________________________


(あ、なんか簡単に表示できたわ)


 でも、魔力が二つあるのはなんでだ?もしかして、転生前と今回の二つ、ってことかな?


 だとしたら納得だと思い、俺は思考を止めた。そうゆうのを考えるよりも、実践的なことを考えたかったからだ。

 まあ、考えるのが面倒だったともいうが。


 とりあえず、この魔力の効果を知らないと駄目だろう。言葉からすれば、なんだか同じものを創るように思えるが。

 試しに、俺はベッドに複製、と唱えてみた。


 グラッ。


 その瞬間、身体から全ての力が抜けていく感覚がした。しかし、それだけでは何か足りない感覚があり、それは俺から見ても明らか。

 何の変化も無かった。


(もしかして、魔力切れか!?)


 それと同時に、この現象に心当たりをつけて――


――意識を失った。




---------------------------------------

~後書き~


 これから、毎日20:00に更新します。楽しみにしてくださると幸いです。

 此処まで、私の拙作をお読みくださり、ありがとうございますっ!

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