【7】自由にはなりましたが、身の安全は?



「これでいいか?」

「あ、ありがとう……」


 鎖はベッドの外に出される。私は自由になったはずだが、ロータルが上に乗っかっているのは変わらないので、安心はできない。


「さて、続けるぞ。最後まではするからな」

「ろ、ロータルさん? それ、本気なんですよね……?」


 最後まですると宣言されると、つい身構えてしまう。身体を繋げるのは、怖い。初めてだし。


「お前を慰めるのも目的の一つだからな。ヨハネス王子のことを忘れて、新しい恋に身を委ねるのも悪くはないだろ?」

「えっと……ヨハネスさまを慕ってはおりましたが、恋かと言われると、ちょっと……。政略結婚ですし、私にとっては仕事みたいに感じていたので……」


 なんか微妙に誤解されている気がして、大真面目に訂正してしまった。こんな説明をしても、いまさらな話だろうに。

 ロータルはそんな私の話をちゃんと最後まで聞いて、力強く頷いた。


「なら、俺に恋をすればいい」

「待って。順番が。恋をしてから、身体に触れるのでは?」

「もう待ちたくない。政略結婚ののちに相手に恋をすることもあると聞く。俺たちはそっちで行こう」


 決めたのだからこれで話は終わりだとばかりにロータルの手が私のドレスにかかる。私は髪が乱れるのも構わず、全力で首を横に振った。


「いやいやいやいや。おかしいです、それ」

「なんだ。身を委ねる気になったんじゃなかったのか、エルヴィーラ。今日くらいは優しくしてやる。心配するな」

「て、抵抗したり説得したりできるなら、最後まで足掻きます!」


 私が大声で宣言すると、ロータルは舌舐めずりをした。ふぅん、と声を出して、私の目を覗き込む。


 おっと、まずい? 火を付けちゃった?


 私は慌てて身構える。


「ずいぶんと俺を煽るのが上手だな。いじめるのは趣味ではないが、たっぷり可愛がったほうがいいのかな?」


 目がぎらりと光った。これは獲物を狩る目だ。そうに違いない。

 私はぶるっと身震いして、縮こまりながら彼の目を見つめ返した。優しくしてもらえなかったらどうしよう。そのときは……仕方がない。


「……お、お任せします」


 自分はなんて余計なことを言ってしまったんだろうと後悔した。小さく膨れてプイッと横を向くと、頬にキスされる。


「エルヴィーラ。お前は言葉がほしいと言っていたな。あまり愛を囁くのは得意ではないんだが、お前からの愛をもらえるように努力をしよう。愛している、エルヴィーラ」


 首に口づけをされると、ちろっと舐められた。くすぐったい。しつこく舐められると鼻から甘い息が漏れてしまう。


「やっ……舐めないで……」

「可愛い声だ。もっと聞かせろ」


 刺激は首だけではなかった。袖や肩がないドレスなので、胸元に手を入れられてしまうとすぐに露出してしまう。逃げたり隠したりする間もなく、彼の大きな手に丸い胸がすっぽりと包まれた。

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