第3話「泣ける」話はない。「泣いた」話があるだけ。
以前、テレビや予告、友人からも「絶対泣ける!」と勧められた映画があり、劇場へ足を運びました。しかし私には合わなかったようで、微妙な観賞後感でした。
その一方、帰りに寄ったネカフェで何の気なしに手に取った漫画を読み、ボロッボロ泣きました。(翌日、友人との会話はアンジャッシュ状態でしたけど……)
この経験から言いたいことは「客観的に泣けるお話はない」ということです。
その作品で泣くかどうかは、どんなに構成や演出や設定を練っても、最終的に受け手の主観次第。
では、どうやって「泣ける話」という要請を満たすべきか。
私は、最初とにかく「自分が泣いた話」を手当たり次第、漁りました。
小説、漫画、アニメ、映画、ドラマ、演劇……媒体を問わず、泣いた記憶のある作品を列挙していきます。
これは長編小説を書くときにも度々行う作業なんですが、今回ばかりは少し的外れだったようです。というのも、参考にしたどの「泣いた作品」も、短編小説に取り入れるにはあまりにも分量が多かったから。
このままだとキリがないし涙腺も限界だったので(←ちゃっかり楽しんでいる)、方針を変更しました。
「泣いた作品」の中でも、短編小説に応用できそうなコンテンツに限定したのです。
私にとってはそれが「インディーズゲーム」でした。
インディーズゲームとは、個人から小規模団体で作られたテレビゲームのことです。
その人員的な側面から、なかなかボリュームは大きくすることはできません。ゲームである以上、操作パートもあるため、ストーリーを語れる容量はある意味短編小説よりシビアだと思います。
でも、めっちゃあるんですよ、泣いた作品。
多分、短編に取り入れられるヒントはここにある、と予想して自分が泣いた経験のあるインディーズゲームを列挙し、それらが内包する要素をメモしていきました。
すると、国も製作者も年代も違うのに、どの作品も一つの共通項を持っていました。
それが【死】という要素です。
そこで、この要素を自作に取り入れることにしました。
素直に追加するとこんな感じです。
【作品の要素】
舞台:魔女の館
登場人物A:メル・アイヴィー(【死】を理由に閉じ込められている)
登場人物B:魔女(【死】を理由に閉じ込めている)
ストーリー:後半で閉じ込められた理由が明かされる、1万字以内の短編
だんだんとあの最終形態に近づいてきました!
こんな感じで、「メル・アイヴィーの黒チョーカー」の物語は完成にこぎつけることができました。
めでたし、めでたし。
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