第2話 制限から来る要請/要請から来る発想

今回、私が参加した企画は以下になります。

「X→LIST+」新曲ストーリー原作

https://kakuyomu.jp/info/entry/xlistplus_story


参加を決意した当時、この企画で執筆したいと思っていたネタは一つも持ち合わせていない状態でした。すなわちネタ切れです。

しかし、どんな風に作っていきたいか、という思いはありました。

それが「制限と要求からの発想」です。


自主企画のページ中には、以下のような項目があります。

・主人公として描くメル・アイヴィーの基本的情報

・アーティストからのメッセージ

・応募要項


特に「アーティストからのメッセージ」の項目で、以下の文章が目に留まりました。

【彼女を主役とした物語を音楽に落とし込むにあたり、例えばファンタジーな世界を舞台とした泣ける話だったり、できればラストでハッ!?とするような少し尖った展開があると嬉しいです。】


もちろん、これ以外の作風でも応募可能でした。

しかし、今回は全部に応えよう、という思いから参加したので、これら全ての要素を取り入れることにしました。


上記のページから制限と要求をまとめたものが以下になります。


【作品で取り入れるべき制限と要求】

・メル・アイヴィーのキャラクター設定

・ファンタジーな世界

・泣ける話

・ラストでハッ!?とするような少し尖った展開

・1万字以内



このうち、ストーリーの組み立てで核となってくるのは下の2つだと考えました。

中でも、「ラストでハッ!?とするような少し尖った展開」と「1万字以内」という制限は相性が良いと思います。

なぜなら、ショートショート、短編のオチとして「謎の開示」が多用されている印象が強いからです。

そこで、この2つは「後半で謎が開示される1万字以内の短編」として1つに収めました。

また、字数の制限から「登場人物はメルと誰か」「舞台は閉鎖的な空間」といったことも決定しました。


いったんここで、これまでに決まったことをまとめます。

作品の要素を「舞台」「登場人物」「ストーリー」の三つとすると、こんな感じです。


【作品の要素】

舞台:閉鎖的な空間(ファンタジー要素あり)

登場人物:メル・アイヴィーと誰か

ストーリー:後半で謎が開示される1万字以内の短編


まだざっくりとですが、ネタ切れ状態からは抜け出せそうな気がしてきました。

次に、これら三つの要素を独立させず、補完的な関係にあるようにして、作品に必然性を持たせる作業を行いました。

こんな感じです。


【作品の各要素の関連付け】

「舞台」と「登場人物」→メルは閉鎖的な空間に閉じ込められている

「ストーリー」と「舞台」→閉鎖的な空間にいる理由が、後半で開示される謎である


ここまで決まると、登場人物の「誰か」はメルを閉じ込めた人物じゃないかなと思い、「ファンタジー要素」という要請から「魔女」にしました。(余談ですが、私は名前を付けるのがとても苦手なので、メル以外は名付けないことに決めていました)

「魔女の館」は、そこからとんとん拍子に出てきた「閉鎖的な空間」にあたります。


今一度、【作品の要素】をまとめておきましょう。


【作品の要素】

舞台:魔女の館

登場人物:主人公メル・アイヴィーと彼女を館に閉じ込めた魔女

ストーリー:後半で閉じ込められた理由が明かされる、1万字以内の短編


おぉ! プロットっぽくなってきた!

と、私はこのとき嬉しくなりました。


しかし、【作品で取り入れるべき制限と要求】を見返して、絶句。

一つだけ取り入れられていない項目があったのです。


すなわち【泣ける話】です。

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