第3話
その光景に冒険者と冒険者ギルド職員は、ただ唖然とした。
先ほどまで苦戦をしていたのが幻だったような、展開が急に発生したからだ。
唖然としている冒険者ギルド職員の右肩を誰かが、ポンッと叩いた。
一瞬、ビクっと身体を震わせた冒険者ギルド職員は、ゆっくりと振り返る。
そこには、先ほどの人物と同じ身体にぴったりと合った軽装した人物が
立っていた。
「加勢にきました・・・」
どうやら走って来たらしく、息を切らしながら告げてくる。
「おおっ 貴方達だったか!! 確か・・・」
冒険者ギルド職員がそう尋ねた。
「 『漆黒の銃士隊』のゴンザレスです・・・・。何とか間に合った様ですね。
『ゴブリン』は、我々『漆黒の銃士隊』が責任をもって引き受けるので、その間に避難民を保護してください」
ゴンザレスが短く告げた。
彼の後ろには、『異様な集団』が隊列を組んでいた。
隊列を組んでいる『異様な集団』は、全員が黒の背広に黒ネクタイ、
白いワイシャツ、黒の革靴を履いていた。
――――つまり、服装は上から下が黒ずくめで、白い部分はワイシャツのみと
いう格好だ。
『現世界』だと、実在するしないに関わらず、その存在自体が一種の都市伝説や陰謀論となっている『MIB』を彷彿とさせる。
その集団の貌は、全員がハリウッド俳優貌をしている。
1人は、『ブルース・ウィルス」
1人は、『ロバート・デニーロ」
1人は、『キアヌ・リーブス』
いずれも有名なハリウッド俳優貌だが、いずれも実際年齢よりも若く、
推定でも二十代~三十代後半という貌だ。
それぞれ五人ずつ隊列を組んでいるのだが、隊列組んでいるのが全員がまったく
同じ貌同士で隊列を組んでいる。
さすがに、冒険者ギルド職員もこの異様な光景に、引きつる表情を浮かべる。
それは、この場にいる冒険者達もだったが、幾人かは『ああ、これが最近噂の・・」と囁きあっている
「まず、『ウィルス隊』と『デニーロ隊』は、自分と同じく員馬車に乗って脱出するまで警戒をお願いします。
『リーブス隊』は、『ラングレン隊』を率いて暴れ回っている彼の援護を」
ゴンザレスは、後ろを振り返りながら、物腰の低い口調で告げる。
『イエス ボス』
全員が片言の日本語で応えると、『異様な集団』は、肩から吊るしているホルスターからコルトM1991A1や、手に持っていたウィンチェスターM1866の撃鉄を
起こす。
その流れる行動もハリウッド俳優貌のためか、まるで映画のワンシーンを彷彿とさせた。
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