第2話
――――――――死の匂いが充満する場所である村。
その一角で、悲鳴と怒号が響き渡り、そこかしこの家々からは火の手が上がっている。
逃げ惑う人々は、黒に近い緑色の肌で中肉中背に近い身体で、赤い眼の醜悪な風貌、ドワーフと同じ背丈の獣人の群れに襲われていた。
夥しい数で、村を蹂躙しているのは『ゴブリン』だった。
村人は、斬り刻まれ、矢で射貫かれている。
「・・・なんて数だ」
夥しい数の『ゴブリン』を見て、呻くように呟いたのは、、『緊急救援』に随行していた冒険者ギルド職員だ。
恐ろしくて歯をガチガチ言わせながら呟いている。
近くの路面には、補給物資が散乱ししていた。
血の臭いが濃く漂っており、その周辺では『緊急救援』に参加していた
冒険者達が鬼の様な形相で、『ゴブリン』と交戦していた。
血みどろになりながらも、剣を振るっているが疲労している様だった。
『ゴブリン』は、耳障りな雄叫びを上げ、鼓膜を震わせながら囲み、
数の暴力で押し寄せる。
状況を見守りながら、冒険者ギルド職員はどうするべきか決断に迷っていた。
『(どうする! この数は多すぎる!!)』
冒険者ギルド職員が何か指示を出そうとした時――――――――鼓膜が千切れそうな轟音が響いた。
一匹のゴブリンは両足を跳ね上げて地面に叩きつけられる。
背中の射出孔に大きく残忍な傷を残していた。
『ゴブリン』の神経組織を麻痺させ、瞬間的な死を与えていた。
『ゴブリン』の群れは醜悪な貌を歪め、涎を垂らしながら轟音が響いてきた
方向に視線を一斉に向けた。
―――視線の先には、凄愴な気配を纏った5人組の『異様な集団』の
姿があった。
集団は、黒の背広、白いワイシャツ、黒ネクタイ、黒の革靴という統一された
服装だ。
そして、全員が―――まったく同じ『貌』だった。
端正な『貌』は、ハリウッドのアクション俳優『ドルフ・ラングレン』と同じ
『貌』だ。
背丈も体格も同じだが、見た限りでは20代~30代後半という若々しい『貌』だ。
全員の手には、、『西部を征服した銃』として名高いウィンチェスターM1866を持っている。
引金をひいた、1人の『ドルフ・ラングレン』貌が、ボルトを引いて、薄煙の
立つ長い殻薬莢を遊底からはじき出す。
薬莢は熱く焦げて赤胴色に光っていた。
その動作の一つ一つが、映画のワンシーンを彷彿とさせた。
「さて、ゴブリン狩りを始めるか―――――胸糞悪い行為を行っている
『ゴブリン』を殲滅しろ!! 」
その後ろから、また別の人影が現れながらそう発した。
現れた人物は、身体にぴったりと合った軽装だ。
号令と同時に『ドルフ・ラングレン』貌の5人は、一斉に『ゴブリン』の群れに銃口を向け、引金を引いた。
五丁のウィンチェスターM1866が一斉に吠える。
『ゴブリン』の群れは、襲い掛かるチャンスもなく銃弾を撃ち込れ、着弾の衝撃に吹っ飛ばされていく。
『ドルフ・ラングレン』貌の5人組は、素早くボルトを操作して、正確な死を送り
続ける。
その貌には表情らしきものはなく無表情だが、それだけでも一つの映画作品の
ワンシーンを彷彿とさせる。
『ゴブリン』の群れは戦う気力を失い、耳障りな奇声を発して逃げ出そうとする。
「逃げられると思うなよ?」
軽装姿の人物が呟きながら、『ドルフ・ラングレン』貌の5人組引き連れて追跡を開始した。
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