第3話 妊活期間に考えていたこと ネガティブ編

 妊活中は、ネガティブな自分とポジティブな自分がいました。感情的で落ち込むネガティブさんと冷静で前向きなポジティブさん。二人が頭の中で常に話し合いしている感じで複雑でした~。というわけで、今回は妊活期間に考えていたことネガティブ編です。




 妊活を始めた当初は割と楽観的でした。意外とすぐに妊娠できちゃうかもね、なんて夫と言ってました。

 でも最初の楽観的な気持ちは、毎月やってくる生理と共にどんどん萎んで小さくなっていきます。


「妊娠できるかな」と期待して、生理がやってきて妊娠できなかったことがわかって「あぁ、まただめだったか」と落ち込む。これの繰り返しでした。妊娠なんて狙ってできるものではなく、いつ妊娠できるかは誰にもわからない。そうするとだんだん頭の中はネガティブになっていきます。


 ・自分は妊娠することができない体なのではないか。

 ・どうしてみんなには子供がいるのに私には。

 ・20代のうちに妊活していたらこんなに落ち込むこともなかっただろうか。

 ・子供ができなかったらどうしよう、夫の両親に孫の顔を見せることができなかったら申し訳ない。

 ・実家の甥っ子姪っ子に会うと、可愛いのになんだか辛い。


 などなど。こんなことばっかり頭に浮かぶんです。あ〜ネガティブです。止めたくてもどんどん出てきてしまいます。


 妊活を始めた年齢が30代半ばということもあり、私はとても焦っていました。子供もできれば2人欲しいと思っていますし、周りからも子供は? と言われますし。結婚して両家の親と子供の話題が出ることもありました。久々に会った友人には「犬飼うよりもはやく子供つくらないと」と言われたこともありました。月に1回排卵するとして、妊娠するチャンスは年に12回しかない。自分の年齢を考えると、結婚してすぐに子供を授からないと2人産むのは厳しいのでは? そんな思いもあったので、生理がくるたび余計に落ち込んでいました。


 自己流でタイミングをとって3ヶ月の間に妊娠しなかったので婦人科にいきました。そこで先生に言われる言葉からも焦りを覚えました。

「今の年齢から妊娠できるかどうかは正直微妙」

「これが20代後半だったら焦ることはないと言える」

「1年妊活して妊娠しなかったら、ステップアップ(本格的な不妊治療)を考えたほうがいい。その時は不妊治療専門の病院を紹介するね」

 言葉だけ書いたらひどい感じになっていますが、通った婦人科の先生はいい人でした。私の年齢も考慮した上で、また金銭的にも保険のきく範囲内で検査をし、薬や漢方を処方しつつ色々とアドバイスをくれました。不妊治療は病気ではないので検査や治療内容によっては健康保険の適用外になり、全て実費で支払わなくてはなりません。なので先生のそうした対応は嬉しかったです。

 そして、変に期待を持たせない先生のお話は事実そうなのですから。楽観的に考えていた自分に現実を気づかせてくれたと思っています。


 さらに、婦人科で自分の体を調べるとわかってくることもあります。

 2つある卵巣のうちの1つは毎回卵胞が育っていない、という状況でした。

 そして私は生理不順なので、調子が悪いときは生理周期が伸びて排卵が遅れることもあったんです。長い時は40日周期になりました。ただでさえチャンスは1年に12回しかないのに、排卵が遅れるとさらにチャンスが減ってしまいます。

 そうすると、


 ・妊娠できないのは女性としての機能がきちんと働いていない自分のせいだ。


 と思うようにもなりました。

 夫も私も子を授かりたいと願っている。しかしそれは叶わないかもしれない。その原因が自分にある、と思うと、自分が女性として欠けている人間のように思えてなりませんでした。

 子供を授かることだけが私の全てではないのに、子供が欲しいと強く願えばこそ、いろんなネガティブが相まって、遂には自分の「女性」としての一面を自分で責めてしまうのでした。



 そういう気持ちを夫にぶつけてまた凹んだりもしました。

 もっと早く結婚していれば、と何度言ったことか。ははは。

 夫もこんなこと今言われてどうしろと? という気持ちだったと思います。過去は変えられないのに、困ったもんです。



 終わりのない洞窟の中をたった一人で歩いているみたいでした。歩いていると、わずかな光が見えて「ここが出口だ! やっと出られるかもしれない!」と、わくわくそわそわしつつその光を目指していくとその光は消えます。そこは出口ではなく、その奥にさらにずっと暗い洞窟の道が続いている。失望と終わりが見えない不安だけが残ります。妊活中はそんな不安と、焦りとの闘いでした。

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