第14話 鬼!?

「じゃあ今日部活でなにかやりたいことはあるか?ないなら解散でいい。」

そういえば周が言ってたことって部員たちにも知っておいてもらったほうがいいんじゃないかな?僕は周を見たけれど周は手をあげるそぶりも見せなかった。


三年生の先輩に言った方が頼もしいと思うけどなー。でもなにか意味があるんだよね。

「じゃあ解散。おつかれ。」

みんなはおつかれーと言いながら席を外していった。

「すまん、紅生は残ってほしい。」

え?あ、はい。


みんなが帰ったあと真田先輩と一対一になって座った。なんか緊張する...。まさか......怒られる?僕なんかしたっけ?

「紅生は影の存在を知っているか?」

影?あー、それは周に聞きました。


「......そうか。じゃあ自分の影は知っているか?」

それが...わからなくて。僕に影はあるんですか?

「ある。」

え!?逆になんで!?

「昨日、細川を助けようとしたときのこと覚えているか?」

覚えてますけど、なんか記憶が抜けているところがあるんですよ。


「それは、お前と影が一体化しているときだ。」

え?

「自分の影は影じゃ実体がないからどうすることもできない。だから取り付いている人間と一体化して体を手に入れるんだ。慣れてくれば自分からでもできるが、今回は影が勝手に一体化したんだな。」


そうなんだ...。それで僕の影ってなんなんですか?

「鬼だ。」

鬼?鬼ってあの鬼?

正直、あまり実感が湧かなかった。鬼と言われたとこで実際自分が鬼になっているところを見たわけでもないし。自分が鬼に取り付かれてるような感じがしないからだ。


でも、あの時頭の中に響いた声は鬼の声だったのかもしれない。自分の中に自分じゃない誰かがいるということがどうしようもない恐怖感を煽った。


「最初は誰だってそうさ。いつのまにか自分が知らない自分が動いているのだから。しかし、慣れれば大丈夫だ。きっと......。人間は、慣れる生き物なのだから。」


「先輩はいつから影に取り付かれているのですか?」

「俺は子供のときからだな。たしか、小学校低学年のときだった。しかし前々から親に言われててな。紅生はそういうのではないのか?」


「全然、です。この学校に来てからです。それも昨日からだし...」

「そうか、そういうケースは聞いたことがないが、もしかしたら親御さんが隠していたのかもな。」


「他の人たちも真田先輩みたいな感じなんですか?」

「ああ、影は子供のころに取り付き、前々から親に言われていたのがほとんどだ。」

ほとんど?ほとんどってことは違う人もいるってことですか?


「どうも橘家には事情があるらしい。」

え?楓と周が?

「影というのは一つの影のうち、一人というのがセオリーなんだ。しかし楓と周は同じ影に取り付かれているらしい。」


同じ、影?

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