第13話 ようこそ

「新しく陰陽研究部に入りました、白河紅生です。祖父母の家で暮らしてます。趣味は読書(読むのはマンガ)です。よろしくお願いします!」

転校してきてからこの自己紹介をするのは何回目だろう。なにかの用事につけて自己紹介をやらされた気がする。


慣れてスラスラと言える文章もここでは少し違った。最後のよろしくお願いしますは一番感情を込めて言えた。それはきっと自分から願ってこの部に入ったからだ。


枕詞のようなよろしくではない。僕の本意のよろしくなんだ。


「それじゃあ俺たちも自己紹介をするとしよう。俺は部長で三年の真田勇一郎だ。なにかあったら三年一組に来るとよい。趣味は...剣道、か?」

隣にいたふわふわの猫っ毛の男子が言った。

「勇一郎は武道全般が得意なんだよ。」

「それほどでもない。」

さすがイケメン。趣味までもイケメンでございますね。

「じゃあ次は俺ね!」

真田先輩の隣にいたふわふわの猫っ毛の、先輩っていうより少年っていう言葉が似合いそうな人が身を乗り出して言った。

「紅生、今俺のことチビだって思った?」

いえいえいえいえ、先輩相手に滅相もございません!真田先輩と違って可愛い系のイケメンでございます!!!

「そう?ならいいけどさっ」


その先輩はいたずらっ子のような表情を浮かべた。よかった。機嫌を悪くしたわけではなさそうだ。

「機嫌なんか悪くないよん。紅生はなーんでも顔に出るんだねー。おもしろーい。」

え!?僕ってそんな顔に出る...?

「まあいいや。俺の名前は天草 アキだよ。副部長!クラスは勇一郎と同じ三年一組。あと、勇一郎とは幼馴染。嫉妬すんなよ、新入り。」

よろしくおねがいしま...って嫉妬しませんよ!イケメンって思ってるだけです。

「ふーん、そうなんだてっきり俺は惚れちゃってると思ったけどね。」

いやいやいや、誰だって綺麗な人には見とれちゃいますって。

「紅生は結構面食いなんだね。」

ん?今なんか言いました?

「べっつにー。」


「じゃあ次は私だな。」

そう言って立ち上がったのは背の高い女の人。スタイルすっごくいい!背はもう真田先輩と同じくらい。首細っ!足長っ!

「私は九条 涼子。三年三組だ。趣味は運動、かな?よろしくな、白河!」


なんか姉御って感じの人だなあ。これからよろしくおねがいします!


「次は一年生だな。」

「あ、俺たちはもうしたんで大丈夫です。」

「楓はともかく周も自己紹介していたんだな。じゃあ自己紹介はこれで終わりとしよう。」


この人達が陰陽研究部の部員の人達かあ。ドキドキワクワク!

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