第12話 悩み
「わからないんですか?」
「うん、ごめん...。」
「...まあ、影が出始めた頃は自分じゃコントロールできないのでわからなくても仕方ない、ですよ...」
周は申し訳なさそうに言った。僕が落ち込んでいるように見えたらしい。全然落ち込んでないよ、大丈夫!だけど先輩がこんなんじゃダメだ。ちゃんとしないと!話題を変えよ。
「周の影は魔女なんだよね、じゃあ、従兄弟の楓は?」
「楓も魔女ですよ。」
へえ、そうなんだ。
「それで、今回呼び出した本題なんですけど...」
なに?
「先輩、楓を守ってください」
え!?どういうこと?
「楓、最近何かにつけられてるらしいんです。」
それって...ストーカー?
「詳しいことはわからないんですけど登下校中につけられてる感じがするってここ二週間ぐらい言ってるんですよ。」
二週間か...ちょうど僕が転校してきたあたりだね...。
「それで、紅生先輩に楓を守ってほしくて...」
そうなんだ...でも周が守ればいいんじゃない?
「そういうわけにはいかないんですよ...」
なんで!?
周は泣き出しそうな声で言った。
「俺、嫌われてるんです」
なんで!?!?
「なんか最近、一緒に登校するのやめようとか、下校は他の部員とだったらいいけど、二人きりはダメとか、学校では用があるとき以外喋りかけてくるなとか、半径三メートル以内に入ってくるなとか...」
そう言っている周は涙ぐんで、目頭を押さえていた。でもそれってただの、
「思春期じゃない?」
「え」
周は引きつった顔をした。
それってただの思春期じゃない?中学生になったから同年代の男子と一緒にいるのが恥ずかしいだけなんじゃないの?
「そ、そうなのか...?」
そうじゃない?
「俺の存在は恥ずかしいのか...?」
いや、そういうわけじゃないと思うけど。男女二人っていうのが恥ずかしいんじゃないの?いじられたりとか囃し立てられたこととかない?
「あ、ったような...」
やっぱり!そういうのが恥ずかしいんだよ。周は恥ずかしくないの?
「別に」
うわー、そういうタイプかあ。やっかいー。
まあ、思春期が終わったらそういうのもなくなるんじゃない?
「本当か!?...ってそうじゃなくて!俺と一緒でいいから楓につきまとってるやつを見つけ出しましょう!あなたしかいないんですうううう」
がっしりと手を握られ、最大まで見開かれた目で言われた。わ、わかったよ...。
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