第15話 ストーカーをやっつけよう

「先輩たち、一緒に帰りましょ。」

「いいよー、周も一緒に帰るでしょ?」

「え、そのー...」

どうしよう。ちなみに俺の名前は橘 周。陰陽学園の一年生さ。俺は今、従兄弟で幼馴染の橘 楓がストーカーにあっている事件の調査中だ。しかし一緒に帰るとなるとストーカーの調査ができなくなってしまう。よし!

「今日はまだやることがあるので先に帰っててください。」


ごめんな、楓。俺がいなくて寂しいとは思うがお前のためなんだ、我慢してくれ。って、あれえええええええ!?

楓、めっちゃ笑顔!

「そうなんだ周、じゃあまた明日部活でね!」

......うん、また、明日...。




「そしたらタコが爆発してイカが生まれたんですよ。」

「なんだよそれー!」

あははうふふあははうふふ


いいなー楽しそうで。いつもだったら俺もあそこにいるのになー。なんで百メートル先から見なきゃいけないんだよ。てかさっさとストーカー現れろよ。俺がストーカーみたいじゃないか。


百メートル先から様子を見るのがどれだけ辛いと思ってんだよ!


そういえばなんで楓はストークにあっているんだろう。恋愛がらみか?たしかに楓はか......可愛い...。いや、照れてない。断固として照れてない。それに男女隔たりなくしゃべれるし、男子からの人気も高い。


でも恋愛関係のトラブルは聞いたことない。今までストークに遭うなんてなかったからなあ。一体、どんな奴がストークをしているんだ!


なんやかんやで家に着いてしまった。結局ストーカーは現れなかった。毎日つけてるわけではないのかな...。


「ん?これは...」


つい蹴ってしまったゴミ箱から出てきたのは、死んだ母のメモ帳だ。結構古いものだ。埃かぶってるし。どれどれ何が書いてあるんだ?



周が魔女の影を嫌がった。それは仕方のないこと。私だってそうだった。でも自分が初めて産んだ息子にこんな辛い目には合わせたくなかった。どうにかしてあげたい。お願い神さま。周を救ってあげて。



影について研究しているという人が家に来た。用件は息子の影を半分にできる手術があるとのことだった。同じぐらいの歳で血液型が同じだったら手術ができるとのことだった。私の周りには姪の楓ちゃんしかいなかった。



楓ちゃんは快く了承してくれた。それで周が救われるならって。涙がとまらなかった。ごめん、ごめんね、ごめんなさい。



手術は成功した。これで周が抱えることになるものは半分になった。でも、これで良かったのだろうか。どうして魔女なんかに取り付かれてしまったの?どうして私たちはこんな運命を歩まなきゃいけないの?



「.........」

母は俺が小さいときに亡くなった。だから大して思い出はないし、死んだときの記憶なんてなにもなかった。


俺にとっては母がいないことが当たり前だったし、母親という存在がなくてもなに不自由なく暮らせていた。だから、死んだ母がこんなことを綴っていたのは意外だった。


最初はそんな感想しか思い浮かばなかったが、次第に不安に襲われた。


俺のせいで楓も魔女の影を背負うことに、なった?

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