第10話 橘家とは
「ちょうどいいところに来たね。ねえ楓と周は結婚してるの?」
「なっ!!」
周は赤面しているが、楓はケロっとした表情で言った。
「なに言ってるんですか、ただの従兄弟ですよ」
へーただの従兄弟なんだ。従兄弟だから名字が一緒なんだね。
「はい、ただの従兄弟ですから」
そっか、ただの従兄弟だもんね。
「ただのただのうるさーい!そんなにただの言わなくてもいいじゃないか!」
周はどうやらただの従兄弟と言われるのが嫌だったようだ。ごめんね。
楓は周の言ったことをスルーし話を続けた。
「周も陰陽研究部の部員なんですよ」
「そうなんだ、じゃあこれからよろしくね周!」僕は握手を求めた。
「えっと、先輩の名前は?」
そういえば言ってなかったか、白河紅生だよ。
「よろしく、お願いします...」
周はふてくされながら僕と握手した。ただの従兄弟ってそんな嫌だった?そういえば、周と楓って僕にとっては初めての後輩なんだよね。よーしいい先輩になれるように頑張るぞ!
「教室入りましょっか。じゃあ白河先輩、また部活で!」
うん、またねー。楓は一年生の昇降口へと消えていった。それを見送っていると......ひょえ!誰かに思いっきり腕引っ張られた。痛い!って周?
周は僕だけに聞こえる音量で言った。
「昼休みに体育館裏に来てください。」
...わかった。どうしたんだろ。
そんなこんなで昼休み。体育館の裏まで行くには少し迷ったけどそんな時間はかかってないよね。
「待った?」
「別に...待ってないですよ」
周は体育館へと入れる扉の前の小さい階段に座っていたので僕も隣に座ることにした。
座った途端に周が口を開く。
「紅生先輩、自分の影にはもう気づきましたか」
「影?」
なんだろうそれ。
「そんなことも知らないで部活入ったんですか!?」
周は心底驚いたようで僕に唾がかかるほど叫んだ。
「ごめん...」
僕が申し訳なくなっていると、
「......別に、謝ることないですよ...」
周は申し訳なさそうに目を伏せた。あれ、意外と優しいかも?
「大丈夫だよ、それより影って何?」
「わかりやすいように僕の影を見せますよ」
そう言うと周は、いきなり下を向き固まった。足下に目をやると、三角帽子?周の影の頭に三角帽子がかぶさっているのだ。しかも鼻が絵本で見る老婆のように長くなっている。
「これは...?」
「僕の影は魔女なんです」
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