第9話 ライバル登場!?

「紅生、朝よ、朝ごはんできてるからね」

「おはよう、おばあちゃん」

朝は結構好きだ。なんとなく爽やかだから。起きられないって人もたくさんいるけど僕、朝は割と強いんだ。でもなんか今日は体がギシギシする...。


昨日激しい運動とかしたっけ?......お!味噌汁のいい匂い!今日の具はなんだろう。キャベツがいいな。おばあちゃんの作るご飯って美味しいからなんでもいいけどさ。


僕は今訳あっておばあちゃんの家で暮らしている。おばあちゃんの家で暮らすためにこの街に来たんだ。ちょっと田舎だけどいいところだよなあ。バスで行けばデパートもあるしね。

着替えながら思った。昨日は色々なことがあったなあ、と。


今でも夢みたいだ。もしかして夢?陰陽研究部なんて本当はなかったり?そんなーーー。今日は昨日のことが本当だったか確かめよう。そうしよう。


制服に着替え終わった後は階段を下りて洗面所で顔を洗う。その時歯磨きする人もいるらしいけど僕はご飯食べてから磨く派。顔を洗い終わったら、居間に行って父さんと母さんに挨拶をする。


「おはよう、父さん、母さん」

仏壇にはキャベツの味噌汁が置いてあった。やった!今日の具はキャベツだ!「昨日はすごいことがあったんだよ、帰ったらまた伝えるね」


僕の父さんと母さんは死んだ。事故とか病気なんかじゃない。もっと酷くて残酷な死に方。思い出すだけで嫌気がさす。だったら思い出さなきゃいいんだ。そうだよ。うん。


って時間がやばい!朝ごはんを食べるっていうより飲み込んで、急いで歯を磨いて、バッグを持って登校!

まだ走らなくていっか。急いだ割には時間は余裕だ。いいなーこの街。空気も美味しいし、自然も豊か!平和だなあ。


「おいお前...」

ん?

「そこのお前だよ...」

突然すごくドスの効いた声で言われたから振り返ると......

ぎゃ!おばけ!


「おばけじゃねえ、おめえ楓のなんなんだ?」

おばけが喋った!

「だーかーらー、おばけじゃねえって言ってんだろ!?」

だったらその顔やめたほうがいいよ。泣く子も笑ってる子も泣くよ!


「う...お前はか、楓とどういう関係なんだ?」

楓?出会ったばっかだからなんとも言えないけど、いい子だよね。

「そうかいい子か...ってどういう関係かって聞いてんの!」

え?なんともないです!まじでなんもないです!


「そうか...」

おばけかと思ったけどちゃんと見ると普通の男子のようだ。あれ?このバッジって......

「あの君、もしかして一年生?」

「そうだけど?」

「僕二年生なんだけど...」

「え」

え。


見る見るうちにその男の子の顔は真っ赤になっていった。

「あ、そ、そのす...みま...せん...」

大丈夫だよ!次から気をつけてくれれば、ところで君名前は?

「橘 周だ...」

橘?確か楓の名字も橘だったよな...もしかして...二人は結婚してるの!?

「け、けけけけ結婚!?そそそそそんなま、まだ早い、よ...」

りんごみたいにすっごい真っ赤!もしかして周って楓のこと好きなの?

「なっ!!!!」

好きなの?

「べ、別に...」

声が小さくて聞こえないよ、好きなの?

「す、好きじゃないし!」

「なに二人で話してるんですか?」

あ、楓。

「かかかかか楓!?」

周の顔は真っ青になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る