第66話 6つ目の力

帰宅した。

かすみは、いつものようにアメリカ風の挨拶で、出迎えてくれた。

というのも、変か・・・


いつもように談笑しながら、夕食を食べた。

いつもながら、美味しい。


そして、一息ついた頃・・・


「かすみ」

「わかってる。お父さんと交信したんだね」

「うん」

かすみは、話しだした。

頭の悪い僕には、理解出来ないところもあるが・・・


「まず、もうじき日本を地震が襲うわ」

「南海トラフ地震だね」

「うん。正解」

やはり、おこるのか・・・


「その衝撃が、あまりに大きく、本州に切れ目ができるの?」

「どのあたりから?」

「日本海側の親知らず付近と、太平洋側の浜名湖付近」

ちょうど、東日本と西日本の境目か・・・


「今も、本州と、北海道、四国、九州は別れているでしょ」

「うん」

「あんな、感じになるだけだから」

「そうか・・・」

かすみは、続けた。


「私の歴史では、そこで西日本と東日本の、ふたつの国になるんだけど」

「うん」

「お兄ちゃんが、アメリカに来た事により、歴史は変わったの」

「そんな事で変わるのか?」

「うん」

大雑把な。


「じゃあ、かすみの言う力というのは?」

「今夏の地震で、ひとりの死者も負傷者も出さない。これがいいこと」

「悪い事は?」

「本州が、真っ二つになる」

まあ、でもそれで、命が救われるのなら、構わないか・・・


「じゃあ、僕は・・・」

「アメリカに留まるわよ」

「どうして?」

「今の、お兄ちゃんなら、わかるでしょ?」


日本に帰れば、仕事どころでなくなる。

それに、歴史が元に戻る。


そういうことか・・・


「そういうことだよ。お兄ちゃん」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る