第67話  運命の日

日本には、2種類の電気の周波数がある。

東日本が50ヘルツで、西日本が60ヘルツだ。

今は、自動で切り替えができるが、昔の電化製品には、

わざわざ、50ヘルツと60ヘルツの切り替えスイッチがあった。


物により違うが、西日本と東日本の境目は、これを定説としていいだろう。


202×年のある日、かねてより危惧されていた、巨大地震が日本を襲った。


「お兄ちゃん、見ていてね。6つめの力を発動させるから」

「この国で出来るの?」

「うん。ここからじゃないと、行きすぎてしまうから」

かすみは、何やら唱えている。


でも、早くて聞きとれない。


言葉は、変わる。

かすみの時代の日本語も、やや変化しているようだ・・・


かすみの6つ目の力は、いいことと悪いことが同時に起こる。


かすみは呪文を唱えた後、両手を天にかざした。

すると、はるか西・・・

日本列島のあたりに、何かが落ちた。


さすがに、音までは聞えてこない。

しかし、何かが起こったのは確かだ・・・


「ふぅ、終わったよ、お兄ちゃん」

「何をしたの?」

「いいことは、日本で起こった地震で、ひとりの死傷者も出さなかった。」

「悪い事は?」

「本州が分断した。話した通りにね」

「その境目は?」

「電気の境目だよ」


日本の本州が、ふたつに分かれた事については、

全世界で報道された。


あれだけの、災害でひとりの死傷者も出さなかったのは、奇跡と言えるようだ。


かすみや豊さんから、聞かされていたのとは違っているが、

かすみたちから見た歴史と、僕が作っていく歴史が、

ひとつ変わったと言える。


「お兄ちゃん」

「何?」

「日本が心配だと思うけど・・・」

「うん」

「がんばっていこうね」


かすみの言葉に頷いた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る