第53話  初仕事

「雅志さん、今日からよろしくお願いします」

「こちらこそ、お願いします」

日本式な挨拶だな・・・


「まず、ビジネスとプレイベートの区別は付けて下さい」

「ええ、なのでかすみは置いてきました」

違うと思うが・・・


「会社では、リンがサポートします。わからない事があれば、聞いて下さい」

「わかりました」


まずは、何をするんだ・・・

ドキドキするな・・・

って、素人気が残っているようでは、まだまだだな・・・


    ≪こちら、かすみ、父緑豊と、コンタクトを取ります≫

    ≪おお、かすみか、アメリカには慣れたか?≫

    ≪ええ、でも、ここも私のいた時代とは違いますね。≫

    ≪都会は摩天楼と呼ばれるだけあって、ビルが建ち並んでいます。≫

    ≪なるほど・・・≫

    ≪でも、少し離れれば、空が青く、そして、低いです≫

    ≪そっか・・・≫

    ≪写真でしか見た事ありませんが、もう、私たちの時代では無理ですね≫

    ≪ああ≫

    ≪私たちの時代では、人類、いや地球が滅びるのも、時間の問題ですね≫

    ≪かすみ、お前はどうしたい?≫

    ≪なんなら、そのままその時代に留まる事も・・・≫

    ≪でも、私はお兄ちゃんの血縁者、お兄ちゃんとは結婚できません・・・≫

    ≪何とかなると言ったら?≫

    ≪私は・・・≫


かすみは相変わらず、豊さんとコンタクトを取っているようだが、

僕は、放置しておいた。


悪い意味ではない・・・

待とう、話してくれるのを・・・


「雅志さん、お仕事ですが・・・」

リンに声をかけられる。

「はい」

「今度出す、映画のキャラクターデザインをしてください」

「えっ、いきなりですか?」

「はい」

リン、淡々と答えないでくれ・・・

もしかして、いい加減な会社なのか?


「テーマはなんですか?地球環境を守ろうではないですよね?」

「違いますよ」

「じゃあ、何ですか?」


「友情と勝利です」

ありがちだな・・・

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