第32話 憩い

雪は一晩中、降り続けた。


かすみは、こたつに入りながら、窓の外を雪を見ている。

とても、わくわくしている。

完全に子供だな・・・子供だけど・・・


あっ、僕もか・・・


「かすみ、ベットで寝ないと風邪ひくよ」

「大丈夫、もう少しこうしてる」

「やみそうにないよ、雪」

「うん、だから見てる」

かすみは、動きそうにない・・・


「お兄ちゃんは、休んでていいよ」

「えっ」

「大丈夫、何かあったら呼ぶから、お兄ちゃん」

「うん」

後ろ髪を引かれる想いはあったが、休ませてもらう事にした。


でも、毛布をかすみにかぶせておいた。

「ありがとう。お兄ちゃん」


翌日、かすみの声で目が覚めた。

「お兄ちゃん、起きて起きて、真っ白」


一階に下りると、かすみは窓の外を見て、はしゃいでいる。

外へ出なかったのは、用心のためか・・・


「かすみ、外へ出る」

「いいの?」

「うん、その前に、完全防寒対策をしてね」

「わかった」


完全防備したかすみと、外へ出た。


「真っ白、何でも流してくれそうだね」

「銀世界っていうんだ」

「銀世界か・・・」

このまま、温暖化がすすめば、雪も見られなくなるのか・・・


「お兄ちゃん、雪だるま作って」

「えっ」

「お願い」

「いいけど、僕も慣れてないから、上手くできないよ」

「私も手伝うから」

かすみは、やる気満々。


「じゃあ、作るか」

「うん」


かすみと2人で、雪だるまを作った。

さほど大きくないが、なかなかなのが出来た。


目や口は、石で間に合わせ、バケツをかぶせた。


「バケツをかぶせるの?」

「国によっては、人参をつけるところもあるけどね」

「・・・そうなんだ・・・」


「お兄ちゃん、この雪だるまもらっていい?」

「いいけど、どうするんだ?」

「お父さんに、連絡する」

何か話しているようだ。


その直後、雪だるまは消えた。

「えっ、どうして?」

「未来に送ったよ」

「2200年に?」

「うん」


雪だるまを見た事のない人が、雪だるまを見たらどうなるか・・・

見てみたい。


これは、かすみのお父さんの、豊さんの力だな・・・






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