第30話  季節は冬へ・・・

かすみの指示通りに、イラストの投稿は続けている。

もちろん、投稿の前に、かすみに見せている。

かすみからは、いろいろアドバイスを受けている。


「お兄ちゃん、ここはこうして」

「もう少し、明るい色で」

「写真を参考にして」


かすみは、自分の時代では、イラストを描いていたのか?

なかなか、的確だ。


でも、世の中はそんなに甘くない。

毎回、選外止まりだ。


まあ、想定内なので、構わないが、上達していくのは、自分でも感じる。


「お兄ちゃん、今からでもいろんな人に見てもらった方がいいかもね」

「というと?」

「ネットにアップするんだよ」

「どうやって?」

「任せて」


この時代の、常識や習慣は、完全に取得したようだ。

新たな力なのか?

「お兄ちゃんに見せた、3つ目の力のひとつだよ」


朱に交われば赤くなる。


でも、いつかは元の時代にかすみは、戻る。

この時代よりも、退化しているところも、あったと思う。


少し、不安になったが・・・


その度にかすみは、「心配しないで」という顔をする。

かすみがそう言うのだから、気にしないでおこう。


かすみの言われた通りに、イラストをネットで公開することにした。

自分のサイトは、見つけにくいので、立ちあげずに、投稿サイトに掲載することにした。


最初は、反応がなかったが、だんだんと反応が来るようになった。

それが、励みとなった。


季節は、冬へと入る。


かすみは、わくわくしていた。

「どうしの?かすみ」

「だって、雪が見られるんだもの」

「雪?」

「うん、写真でしか知らないから楽しみ」

「マリンスノーは?」

「あるよ。でも、やはり雪が見たい」


この地方では、雪は滅多に降らない。


神様が気を使ってくれるといいが・・・

こればかりは、努力ではどうしようもない。


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